最新更新日:2013/03/25
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ありがとう五反野小学校!さようなら五反野小学校!

家族楽しく 理解深めて

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[新校長日記]


学校案内はシール付き
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 五反野小学校へ入学した1年生と保護者は、まもなくA4判の冊子を受け取る。「GO! GO! 五反野」と名づけられた冊子はこんな文章で始まる。

 「朝、校門で『今日はどんな勉強ができるかな』と笑顔で登校してくるみなさんに会いました。『おはようございます!』のあいさつが元気で、これからみなさんと過ごす毎日がとても楽しみになりました」

 これは、教育に関する事柄や地域の情報を簡略にまとめた子どもと保護者対象のガイドブックだ。学校が配る書類も一緒にとじられるようにした。学校の文書もA判に統一した(いままではB判が多かった)。こうしたガイドブックは全国でもあまり例がないという。教育関連情報の便利帳として、6年間の子どもの成長の記録帳として活用してほしい。

 「みなさんが大人になったとき、世の中で活躍できるよう、『学習の力』と『学習する力』をいっぱい身につけてほしい。私は、五反野小学校をこんな学校にしたいと思っています」

 保護者あてに出した「校長先生の五つの約束」と題する学校マニフェストの前文だ。五つの約束とは次のとおりである。

(1)楽しく学べて、授業がわかる学校にします。

(2)読むこと、書くこと、計算すること、表現することなど、これからの勉強の役に立つもとの力がつく学校にします。

(3)大人になっても役に立つ「勉強の仕方」「考える力」が身につく学校にします。

(4)他の人のことを思いやり、世の中の人の役に立つ人になれる学校にします。

(5)おうちの方や地域の方が、みんなで勉強を応援してくれる学校にします。

 学校の考えを、保護者らに知っておいてもらうことは、地域立の学校のいろはの「い」だ。「よくある質問と答え」もつけた。たとえば、「家庭での学習はどのくらい時間をかければよいか」という質問に対する答えはこうだ。

 「1年生なら15分、2年だと30分といった具合に、『15分×(学年の数字)』。宿題は食卓でやらせよう」

 「家庭学習の習慣のつかない間は、そばにいて勉強を見てあげる人が必要だ。特に低学年はつまずきやすい。いったんつまずいたら子ども一人では容易に修復できない。それを部屋に入れて『勉強しろ』では子どもは途方にくれてしまう。『保護者が帰るまでに宿題をやっておくように』も無理な話だ。できれば、食卓で楽しくコミュニケーションを図りながら、ほめながら進めるとよい。大切なのは集中させること。テレビを見ながら、ではなく、時間を決めて集中して学習させること」

 回答だけでなく、考え方の背景もあわせて説明することが、理解していただくポイントだ。

 明文化していないと、どうなるか。「低学年の間は、勉強だと口うるさく言わず、のびのび遊ばせたい。そんなに宿題を出して、どういうつもりだ」。こんな苦情が保護者から担任にぶつけられた場合、学級ごとに対応が異なりかねない。

 親子で一緒に読めるよう必要な個所にはふりがなをつけた。子どもの好きなシールもつけ、校内探検(学校見取り図)や通学路地図、時間割りなどは、親子でシール張りをして完成させる仕掛けだ。学校を理解する手段が、家庭で保護者と子どもがニコニコとシール張りをすることなんて、ちょっと楽しい。

         足立区立五反野小校長     三原 徹

   (2005年4月23日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

成長くっきり 教育の醍醐味

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[新校長日記]


2年生が花添えた入学式
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 初夏を思わせるような陽気で校庭の桜が一気に膨らんだ。6日、05年度の入学式の日だ。

 体育館に入った新1年生は96人、3クラス。6学年の中で1番多い。学校選択制になって2年目、旧学区以外から五反野小学校に入学してきた児童が約4割もいる。

 「入学おめでとう」のあいさつに、「ありがとうございます」とはっきり礼が言える。いすに腰掛けた姿勢も正しい。保護者のほうが緊張している。話を聴く目が真剣だ。

 式辞で私はこんな話をした。

 「地域も保護者も望む学校をつくろうと取り組んでいる。全教職員33人が子どもを中心に据えた教育を進める。安心して任せて頂きたい。6年間預かる重さを受け止め、期待に沿うべくベストを尽くす」

 「しかし、子どもの健全育成には、家庭の愛情と、手抜きをしない養育が欠かせない。子どもたちと同様、保護者も1年生になったつもりで、楽しみ励み努めるようお願いする」

 「我が子さえ良ければ、といった『自子(じこ)主義』に陥らないことが肝要だ。特に上級生や保護者と付き合い、学んでほしい。『学校がうちの子に何をしてくれるか』ではなく、わが子を含む地域の子のために何が出来るかを考えて行動してほしい。ここは、保護者と地域と学校が三位一体となってつくる地域立の学校なのだから。子どもたちがのびのび、しっかり育つ学校を一緒につくっていこう。校長室の戸はガラス張り。相談や要望があれば、いつでも歓迎する」

 しっかりと保護者の心に届いた手ごたえを感じた。

 上級生たちは、午後からの入学式で新1年生を迎える準備を進めた。新2年生は新入生へ歓迎のことばと演奏、劇のおさらいだ。春休み前、あれほど練習した歓迎のイベントが、うまくいかなかったら悔しい。

 入学式の終了と同時に、前面にしつらえられた演台が取り払われ、足元を飾る花も脇に寄せられて臨時の舞台が出来あがった。2年生が整然と登場する。隊列が整うと、手話も交えた歓迎のことばが始まる。1年間の学校行事を、ことばと演奏と劇で知らせるのだ。

 「ともだちたくさんうれしいな」「ぴっかぴかの1年生、ご入学おめでとう、学校はすごく楽しいよ」「なんてったって探検が最高、荒川土手探検隊」

 つづいて春の運動会で踊った「さるとび忍者ヒーロー」の群舞、秋の学芸発表会で演奏した「踊るポンポコリン」の合奏。金管を演奏する子、歌う子。鍵盤ハーモニカを吹く子……。

 図工の授業中に描いた「お結びコロリン」の絵と、音楽の時間に学んだ「お結びコロリン」の歌、朝の音読で学んだ「お結びコロリン」の群読で構成された「お結びコロリン」の劇。次から次に歓迎のセレモニーが繰り出される。

 これが1年前に入学してきた子どもたちか。声は大きく、はっきりしている。自信に満ちてそれぞれの子が自分の役割をこなしている。

 これこそ教育の醍醐味(だい・ご・み)だ。教師の頑張りが、そのまま子どもたちの成長として現れる。この子たちは一体、どんな6年生に育っていくのだろう。そう考えるとワクワクしてくる。教育はすばらしい。

 新1年生も、保護者たちも魅了され、食い入るように見つめている。うちの子も、1年たったらこんなにしっかりするのだろうかと期待を込めて。

          足立区立五反野小校長 三原 徹

   (2005年4月9日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

1年担任トリオが発案

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[新校長日記]


地域の応援で食育授業
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  4時間目が終わると、急ににぎやかになる。給食の時間が始まるのだ。

  給食は特に野菜を多く使用している。苦手な食材を食べられるようになり、食事の楽しさ、友人とのコミュニケーションを身につけてほしい。だが、正しい姿勢で食べられなかったり、箸(はし)が正しく持てなかったり、嫌いなものを残してしまったり、マナーの身についていない子も多い。

  先日、ある学校で保護者から「うちの子には、いただきますとはいわせないで」との抗議があったと聞いた。理由を聞いて開いた口がふさがらなかった。「給食費を払っているのだから言う必要がない」というのだ。

  「いただきます」「ごちそうさま」は、自然の恵みや生き物の命をいただいていることに由来する。食物が自然の恵みであることに感謝し、作物を育てる人、育てた作物を運ぶ人、料理を考えて作る人、作った料理を準備する人、みんなに感謝することだ。

  昨年12月9日、「みなおそう食事のマナー」と題し、1年生を対象に食育公開授業をした。担任らの発案で、地域・保護者・学校が一体となって食育に取り組む試みだ。ゲストティーチャーとして、住民や保護者、給食主事ら、日ごろ話を聞く機会の少ない方たちが教壇に立ち、子どもたちは熱心に聞き入っていた。授業終了後、交流会を開き、食育や、今後のゲストティーチャーのかかわり方について意見交換した。

  1年生は3クラス。教師たちのチームワークがとてもよい。朝や夕方になるべく時間を作って打ち合わせをしながら準備を進めている。食育の授業では、男性の担任が登場して「よくない食事のマナー」の資料ビデオも作り、授業で使った。悪い姿勢で妙な箸の持ち方をして、同じものばかり食べている担任の姿は、子どもたちには大うけだった。

  保護者もゲストティーチャーとして、正しい箸の持ち方を子どもたちに指導したり、食事のマナーの大切さについて語ってもらったりした。担任も「応援者がいるのは心強いし、多くの人の知恵が集まれば、それだけよい授業ができると思う」。

  その後の意見交換会では、保護者から「授業参観より、参加するほうが楽しい」「なぜいただきますと言うのか、子どもに教えてもらえてよかった」といった声が上がった。

  前月初めの学年だよりでゲストティーチャーを募集したところ、保護者らがすぐ手を挙げてくれた。PTAの委員にも協力を頼んだ。2週間ほど前に最初の打ち合わせをして授業の大筋を固め、1週間前には全員に集まってもらい、内容を詰めた。

  1年生で特に気をつけて指導をしている点は、基本中の基本を身に付けさせようということだ。例えばランドセルをロッカーに入れること一つとっても、入れ方と、なぜそうするのか教えていないと、できるようにならない。宿題を朝きちんと提出するといった基本も、1年生のうちにしつけておく必要がある。3クラスの教師が一緒になり、子どものよい点をほめながら、厳しく指導している。

  「学校は楽しいところであること」「わからないことをそのままにせず、できるようになるまで努力する」

  こうしたことをしっかり伝えていきたいと頑張る1年の担任たちは、五反野小学校の自慢の教師トリオである。

足立区立五反野小校長 三原 徹

     (2005年4月2日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

春の大運動会挙行!(5月21日)

 5月21日(土)、春の大運動会を挙行した! 空は晴れ、薄い雲もあり、運動会には絶好の日と幸運を喜んだが、そのうち気温はぐんぐん上がり、空の雲も消えてしまって、真夏のような太陽の下での運動会となった。

 それでも子どもたちは元気いっぱいで、連休過ぎから練習を重ねてきた演技や競技の成果を出し切って、力いっぱい頑張り、いい汗をいっぱいかいていた。 
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地方自治経営学会で講演

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 5月17日の午後、千代田区平河町の日本都市センター会館ホールで「地方自治経営学会研究大会」が開かれた。地方自治体の経営について研究する団体で、会長は前島根県知事の恒松制治氏だ。都道府県会議員、市区町村会議員、地方行政職員など500名を超える参加者で盛況な会合であった。
 
 今年の全体テーマは「どう立ち向かうか 分権と財政危機」。この中で全国初の取組み事例を紹介してほしいという要請があり、五反野小学校の地域運営学校としての取組みを紹介した。
 本校の事例以外では、佐賀市長から市のコンピュータシステムを職員が主体で作り、5年間で3億円の経費節約を実現した事例や、和歌山県農林水産部の雇用推進局長からの紹介で、環境保全をキーワードに森林保全で雇用創出し、都会からのIターンの移住者で1つの村の規模の人口増を実現した話など、非業に興味深い試みの取組み事例を学ぶことができた。
 キーワードは組み合わせか。すでに世にあるシステムや考え方を新しい組み合わせで再構築するとき、そこにいままで不可能と思われていた解決の道が見えてくる。
 どこの自治体も財政危機を踏まえながら、どう経営を展開しようかと模索している。学校経営の考え方も同様だ。学ぶ心を持つとき、どんな状況に置かれても学ぶことができるのだということをあらためて感じた。

 それにしても、参加されていた地方議員の方々も地方行政の方々も、非常に熱心に学習しようとしておられる姿勢に敬服した。私自身、たいへん勉強になった会であった。
 情報交換をさせていただいた皆様、ありがとうございました。

                    校長 三原 徹

中山文科大臣からの視察訪問のお礼状

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5月13日に五反野小学校を視察訪問された中山文科大臣から、お礼状が届きました。全文を紹介いたします。(校長 三原 徹)



足立区立五反野小学校の皆様へ

 先日の貴校訪問の折には、大変お忙しい中、急な私の訪問のために種々ご準備いただいたことに対しまして、改めて感謝申し上げます。

 五反野小学校は、全国に先駆けて設置されたコミュニティ・スクールの第1号であり、かねてより是非早い時期に訪問したいと願っていたところ、この度それが叶い、嬉しく思った次第です。

 五反野小学校は、大神田理事長をはじめとした地域社会にしっかりと支えられるとともに、三原校長先生の民間の感覚を活かしたリーダーシップの下、教職員一丸となって取り組まれており、子ども達がきびきびと元気に学ぶ姿に学校が活性化している様子を実感し、大変感心致しました。また、給食をとりながらの子ども達との懇談では、子ども達から竹島問題や教科書問題などについて質問があり、社会で話題となっている時事問題について子ども達が興味を持ちながら日々を過ごしていることを知り、大変嬉しい思いがいたしました。

 現在、日本の教育は種々の課題に直面しております。二十一世紀を生き抜いていかなければならない子ども達です。しっかりした学力、体力、気力を植え付けて、社会に巣立たせてやりたいものです。その意味でも常に考え得る最善の教育を子ども達に与えなければなりません。教育改革は永遠のテーマであると同時に喫緊の課題であると考えております。

 私は、新しい時代にふさわしい義務教育の在り方について根本から全般にわたって国民的な議論を行ってまいりたいと考えておりますので、どうか先生方におかれては今後とも折りに触れて現場の声をお聞かせいただきたいと思います。

 最後になりましたが、皆様方の益々の御活躍と五反野小学校の今後益々の御発展を祈念いたしまして御礼のご挨拶といたします。

          平成十七年五月十六日

               文部科学大臣  中山成彬

中山文科大臣が五反野小学校を視察

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 5月13日(金)、文部科学省の中山成彬文部科学大臣、銭谷眞美初等中等教育局長、塩見みづ枝教育制度改革室長をはじめ、沢山の方が本校を視察してくださいました。全国で実施されているスクールミーティングの一環です。
 子どもたちの授業を視察いただいた後、家庭科室で4〜6年の児童代表の子どもたちと一緒に給食を食べながら、懇談いただきました。給食懇談は足立区の内藤博道教育長、学校理事会の大神田会長、鴨下、三田の両副会長もご一緒いただきました。
 子どもたちからは竹島や教科書問題をどう考えればよいのか、先日のJR事故に対して大臣のご意見をお聞きしたいなど、シリアスな質問が出たそうですが、大臣はそれらに1つ1つ丁寧に答えていただきました。
 私は、前々から依頼を受けていた、東京都の新任統括指導主事の研修で講義するため目黒に出張しており、お出迎えもご案内もできず、大変失礼をしてしまいました。
 13時からの教職員との懇談には間に合ったのですが、懇談の時間を大幅に延長して頂き、出席した教員全員からの質問を受けていただきました。
 その後の教育長、理事会正副理事長、校長との懇談時間も、予定時間を超過してお話いただきました。おかげで全国初の地域運営学校としての成果や課題についても十分にお伝えできたと感じています。
 随行されていた秘書官の方の、スケジュール管理が大変だと心配するほどでした。
 ご出席の塩見教育制度改革室長からも、「中山大臣も銭谷局長もたいへん喜んでおりました。私も、1年ぶりにお伺いして、コミュニティ・スクール第1号として着実に歩みを進めておられる姿を大変心強く思った次第です。おいしい給食もごちそう様でした。給食を食べながら子どもたちと話をして、元気を分けてもらったような気がしました。今後とも一層のご発展を期待しております。」と、暖かいメッセージをいただきました。

                  校長  三原 徹

思い出重ねて 初の卒業式

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[新校長日記]


児童に贈った3つの「あ」
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  私が五反野小へやってきて、1年が過ぎた。25日は初めての卒業式。70人を中学へ送り出した。1年間だったが、6年生との思い出はたくさんある。

  5月の運動会から始まり、校外の活動、多くの子が一番の思い出という日光の自然教室。興奮し、夜中の3時まで起きていたと後から聞いた。国会議事堂見学で衆院議員会議室を見ながら、全員が声をそろえた日本国憲法前文の暗唱。

  いま子どもたちには中学生活への自覚や決意が感じられる。目は輝き、実に美しい表情をしている。

  一人ひとりに手渡した卒業証書は1枚の文書に過ぎない。けれども、その背後には実に様々のものが宿されている。

  何より子どもたち自身が6年間、雨の日も風の日も登校し、人間として必要な基礎と基本を身につけた努力。身の回りの世話をしてきた家族の愛情。安全に生活できるよう、地域やPTAで続けた交通整理や登下校時の声掛け運動。開かれた学校づくり協議会委員が月2回開いてくれた土曜のびのびスクール。学校運営に力を注いだ学校理事会理事の願い。そして毎日全力投球した教師たち。こうした積み重ねの上に手にすることができた卒業証書だ。その一枚一枚に千鈞(せんきん)の重みがある。

  卒業式で贈った言葉は三つの「あ」だ。「あいさつ」「ありがとう」、そして「あした」である。

  「あいさつ」。笑顔は人を元気にする。笑顔は自分も相手もよい方へ変える。私は毎朝登校してくる子どもに、「おはようございます」と、笑顔であいさつする。その子が私にとって、かけがえのないひとりの人間であると思うからだ。子どもたちも「おはようございます」とあいさつしてくれる。このふれあいから1日が始まる。あいさつするというのは、「あなたを認めているよ」という気持ちを伝えることだ。

  「ありがとう」。子どもたちは家族、友だち、先生、地域のみなさんらに支えられ、生きている。その人たちに感謝の気持ちを持とう。「ありがとう」と言える人になろう。そしてそう言ってもらえる人になろう。

  三つ目の「あした」。校門の内側に『夢見るたまご』というモニュメントがある。支えている石の台に、「五反野小のみんなの夢よ、殻を破って大空へ羽ばたけ」と刻まれている。

  卒業前のひと時、6年生と一緒に、校長室で給食を食べながら将来の夢を聞いた。

  「芸人になり日本中の人を笑わせたい」「メーキャップアーティストの資格を取り、いろんな人にメークをしてあげたい」「イタリアで修業して料理人になる」「看護師になって人を助ける」「小学校の音楽の先生になりたい」。目を輝かせながら口々に話してくれた。

  中学では、さまざまな人との出会いがあり、さまざまな経験をするだろう。心の底から喜びを感じるときもあろう。つらい思いをすることもあろう。その一つ一つが成長の糧(かて)だ。好きなものや興味のわいたものから、自分の夢や夢中になれるものを見つけてほしいと思う。夢を抱き、そのために何をすべきか理解すれば意欲がわいてくる。勉強するなら楽しい方がいいに決まっている。前向きに、あしたに向かって生きてほしい。

  困難や苦労に直面しても負けずにがんばってきた、私にとって初めての卒業生に、心からのエールを贈ろう。



         足立区立五反野小校長     三原 徹


     (2005年3月26日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

開かれた学校 安全面も大切

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[新校長日記]


合言葉は「いかのおすし」
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  「いかのおすし」。学校給食のメニューではない。子どもたちの防犯意識を促す合言葉だ。

 「いか」…ついて「いか」ない

 「の」…車に「の」らない

 「お」…「お」おごえを出す

 「す」…「す」ぐに逃げる

 「し」…周りの人に「し」らせる

  子どもの安全は、学校・保護者・地域にとって最優先の課題である。安全対策を踏まえた開かれた学校づくりを進めるために、万一、ことが起こったときにも沈着冷静に動けるよう、体系的・組織的に訓練し、役割や緊急行動について教職員をはじめ関係者が高い意識を持ち続けなければならない。

  今年度、綾瀬署に指導をお願いして体育館でセーフティー教室を開いた。教職員を対象に刺股さすまたを使用した不審者対応実技演習訓練もした。児童、保護者・地域住民にも参加を求め、子どもたちに指導いただいた合言葉が冒頭の「いかのおすし」だ。

  3回目の2月24日、教室に不審者が侵入したとの想定で、パトカーの緊急出動を依頼するなど本格的な訓練に取り組んだ。

  授業中、急に教職員だけにわかる緊急連絡の放送で、子どもの安全確保と不審者対応の指示が流れた。ことは一刻を争う。教職員は指示に従って、ある者は刺股を、ある者は武具防具となるものを手にとって、すばやく真剣に行動する。

  不審者役の警察官が野球帽にマスクとサングラス、手には刃物を持ち、1階の教室に現れたときは、クラス担任、子どもたちもさすがに緊張したそうだ。

  ただ、訓練対象クラス以外の子どもには、何が起こったのかよくわからない。

  放送による指示は「先生の指示に従って速やかに運動場に移動しなさい」というだけだ。ある保護者から「防犯訓練になっているのか。何をしていたのかよくわからないと、子どもがいっていた」とおしかりを頂いたが、この訓練はそれでいい。

  教職員が、しっかり子どもの安全を守る意識と行動を身につけることが目的なのだから、必要以上に子どもをおびえさせたり、興奮させたりする必要はない。こうした意図を理解していただけるよう保護者や住民に伝えていかないといけない。学校の情報を過不足なくきちんと出すことの難しさを感じる。

  不審者が拘束され、パトカーに乗せられて去り、校庭へ全員が避難したあと、警察の防犯係長から子どもたちに話していただいたのは、今回も「いかのおすし」の話である。

  子どもにはまず、徹底して自分の身の安全管理、教職員はそれに加えて危機管理。その意識を持って行動することを、くり返し指導していきたい。

  五反野小学校は、保護者・地域に開かれた学校経営を掲げている(通用門がいつも開いているということではない)。地域住民を含め、学校への人の出入りは多い。

  緊急時の対応だけでなく、普段の来訪者にも、事前登録や来校時の身分証明書の提示を要請し、名前と連絡先を確認の上、来校者用カードをかけていただくようお願いしている。学校公開の日などには、子どもが独りになる場面をつくらないよう、PTAの協力を得て校内パトロールにもあたっている。

  過度に厳しくする必要はないが、学校の安全管理にきちんとしたルールを設け、共通理解のもとに運用していくことが、真に開かれた学校をつくっていくうえで大切であると考える。

          足立区立五反野小校長     三原 徹

     (2005年3月12日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

できる範囲で年1回参加

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[新校長日記]


各家庭が学校支援
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  学校には1年間に実にさまざまな催しがある。入学式から始まって学校公開、保護者会、運動会、学芸発表会……。こうした行事を支えているのが、地域住民の熱心なボランティア活動だ。

  地域立の五反野小学校を支える柱の一つ、PTAは今年度から、「学校支援ボランティア」に乗り出した。すべての保護者が年1回、学校行事を応援するか、PTAの様々な活動に参加する取り組みだ。基本メニューを7通り、用意した。旗を持って横断歩道に立ち、登校する児童の安全に目を配る交通ボランティア(1日でも可)、運動会当日の校内パトロール、校内防災訓練の手伝い、ベルマークの集計、土曜のびのびスクールのサポート(年1回程度)など。

  昨年4月初め、各家庭に「学校支援カード」を配り、参加・協力を呼びかけた。カードには支援ボランティア活動の七つのメニューと、それぞれに必要な人員の目安が記されている。その中からできるものを選び、第3希望まで記入してもらう。家庭内のだれが参加しても構わない。全家庭に提出をお願いした。何人か子どもを通わせている世帯は、下の学年のクラスで参加していただく。ある行事に希望が重なり、応募多数となった場合は、PTAの学年委員が調整にあたる。

  このアイデアを出したのは、PTAの役員のみなさんだ。

  「保護者も、学校を応援したい。教育活動をどう支援していくか」

  知恵を出し合って練り上げた構想について03年夏、全家庭を対象にアンケートしたところ、思いのほか反応がよかった。実行に移すにあたって、PTAの運営委員会で何度も運営のノウハウを議論した。

  これまで、委員ではない保護者は、学校行事やPTAの活動に参加する機会が少なかった。この仕組みができたおかげで、「協力しやすい」「予定が立てやすい」と好評だ。

  PTA会長の三田利恵さんが言う。

  「みんな、喜んでいるんですよ。今までは学校行事にほとんど参加する機会がなく、肩身の狭い思いをしていた保護者が多かったですから」

  こうした活動に保護者全員が関与すれば、「○○さんは参加せず、不公平だ」といった声は上がらなくなる。役員や委員にかかる負担はずいぶん減った。今年度は1年目であり、試行錯誤もあるが、必要な手直しを随時加えながら、ノウハウを築いていくという。

  PTAのホームページも、学校支援ボランティアの活動の一つとして、パソコンに習熟した保護者が熱心に作成している。昨年7月に開設された。優しい画面のつくりが好評だ。学校のホームページのアクセス数の増加に比例して、アクセス件数も増えてきた。

  よい面は残しながら、必要ならば前例にとらわれず、柔軟に方針を転換するのが、五反野小学校PTAのスタイルだ。

  「以前は学校全体の取り組みについて意見を述べる場がなかった。学校を運営する理事会にPTAが代表理事を出し、発信できるようになった。積極的に学校運営や行事に参加し、保護者自身も変わっていかなければいけないと思います」

  PTA会長の三田さんの言葉である。

        足立区立五反野小校長     三原 徹

      (2005年2月19日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

教師・親・地域 一体に

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文科省指定発表会
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  今月29日、3年間進めてきた文部科学省指定の「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」の発表会が五反野小学校で開かれる。

  発表に先立ち、昨年末、研究主任教師にも学校理事会へ参加してもらい、3年間の取り組みを振り返る機会を持った。そこで改めて出たのは、保護者や地域住民の意見をとり入れて公立学校を経営するというのは、これほど大きなエネルギーの要る作業だったのか、という声だ。

  「今のようにストレートに話せれば、効率的ですね。そこが、学校が3年間で一番変わったところでしょう」

  「学校が外部の意見に左右されるなんて、とんでもないと、教師たちは思っていた。それが徐々に変化してきた」

  「子どもたちの学力向上を、地域や保護者が理事会を通して、ためらいなく提案や要求ができますから」

  住民や保護者の理事たちの回顧が続いた。

  もともと、五反野小は区のモデル推進校として、開かれた学校改革に取り組んでいた。しかし、意見を述べ、提言しても、門外からの発言にすぎない。保護者や地域の本音を入れた学校運営は、保護者、住民が公式に参画できる場があって初めて実現することを痛感したという。

  住民や保護者の代表らでつくる学校理事会は02年度に創設された。当初は理事会で討議し、決議した事項が、断片的にしか教師に伝わらないケースもあったようだ。学力向上を図る手だてをめぐっても、教師たちの取り組みが理事会の意思決定と隔たっていると見た理事が「理事会の思いとは違う」と、たびたび軌道修正するよう要求したという。

  システムや体裁が整っても、運用するのは人間である。互いに意見を尊重し、信頼関係があって初めて成果が出せる。

  コミュニティスクールへの取り組みを粘り強く続けた理事の方々、それを支えた地域と保護者にとって、今回の発表会は万感胸に迫るものがあるだろう。粘り強い取り組みに、深い敬意と感謝の念をささげたい。

  最近、日本の子どもの学力を諸外国と比較して報じるニュースを見聞きする。学力の相対的低下の原因の一端には、しつけやマナー、社会のルールを教えるといった地域や家庭の役割と、学校の務めの境が不明確になっていることがあろう。

  これまで日本の教育は、勉強もしつけも丸ごと学校に任せてきたきらいがあった。学校に傾斜していた考えを改め、学校と保護者、地域住民の役割分担を明確にしたうえで、みんなの力で子どもたちを育てていこう。こうした考え方が、地域立学校である五反野小の出発点だ。大切なのは当事者意識だ。

  保護者の協力も、他校とはレベルが違うと自負している。地域立の学校となって、これまで以上に保護者の参加・協力が大きな意味を持つことを、みんな実感としてとらえている。研究発表会に組み込まれた土曜スクールの主催者として、地域住民もスクールに参加する子どもたちの指導に力が入っている。当日の交通整理、湯茶の接待まで進んで買って出てくださった。

  文科省の研究発表会という今年度最大のイベントに向け、一丸となって準備に余念がない。教師も保護者も、そして地域住民も、自分たちの発表会なのだという意識をもって本気で取り組んでいる。

        足立区立五反野小校長      三原 徹

      (2005年1月22日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

大盛況 地域の人が先生

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土曜のびのびスクール
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  土曜日なのに、朝から子どもたちが続々と学校へ集まってくる。毎月第1、3土曜日の午前中に開かれる「のびのびスクール」へ参加するためだ。

  学校週5日制に伴い、土曜日は休みになった。だが、家族の仕事の都合で一人で過ごす子や、過ごし方が見つからない子も多い。地域・家庭が一体となった子どもの育成をめざして、「開かれた学校づくり協議会」の「地域の学校化部会」で検討し、学校を会場に地域住民が講師となる楽しい教室を企画した。それが「のびのびスクール」だ。

  現在、開講しているのは次の5教室。1年生から6年生まで自由に参加できる。


  ・学習サポート教室

  ・パソコン教室

  ・囲碁教室

  ・将棋教室

  ・少林寺拳法教室

  学習サポート教室は、いろいろなテーマで国語や算数などを楽しく学ぶ。読み聞かせや、ことわざなど言葉の学習、おもしろい算数の問題や、リズム演奏など、テーマはさまざまだ。毎週は無理でも都合のつく日に得意な分野で教壇に立つ。今期から漢字検定チャレンジ講座が新設され、家族そろっての申し込みがあるなど、なかなかの人気を博している。

  受講者が減り気味だった囲碁教室は、子どもの気持ちをつかむため、碁石を使ったオセロゲームをとり入れたところ、人気が急上昇した。

  少林寺拳法教室は、心の鍛錬を強化するために実技に加えて講義も行うなど各教室が工夫を凝らし、どこも大盛況だ。延べ150人が受講して、のびのび学習している。

  旗を振った一人、「開かれた学校づくり協議会」の地域の学校化部会長、井口信昭さんによると、使用可能な教室を開放して02年1月、4教室からスタートしたという。

  発足当初、学校は無論、地域の町会の全面的な協力を得てボランティア募集のビラ数千枚を配り、地域のコミュニティセンターなども通して働きかけた。

  現在はPTAも含め、30人近いボランティアの方が、企画・運営を担当するコーディネーター、先生役のアドバイザー、子どもたちの活動を助けるサポーターなどに分かれて支えているとのことだ。

  学習サポート教室を参観したある保護者は「難しい勉強をしているのかと思っていました。来てみると、各自のペースを大切にした自由な内容や指導で、とても安心しました」。

  コーディネーターとして参加している住民の一人は「わが子は成長し、なかなか学校にかかわる機会もありませんでした。久しぶりに子どもたちと交流が出来て、楽しく学校へ通っています」。

  子どもを送り出す側も、教室を運営する側も、のびのびスクールの活動に満足している様子がうかがえる。

  町で見かけたあの人が、あの子と心を通わせる。「のびのびスクール」は子どもたちを指導しながら、「地域の子どもを育てよう」という心を、地域の大人に育んでいるようにも感じられる。

  ここで重視しているのは、礼儀正しくあいさつする、心と体を鍛える、いろいろなことに興味・関心を持つ、困難に立ち向かう意識を養う。

  子どもたちはそんな「のびのびスクール」をとても楽しみにしていて、出席率も継続率も際だって高い。

     足立区立五反野小校長     三原 徹

      (2004年12月18日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

パワーアップタイム

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[新校長日記]


子ども真剣教師ワクワク
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  登校後、校庭で元気に遊んでいた子どもたちが教室に入る。午前8時40分、一瞬、校内が静まり返る。と、人気テレビゲーム、ドラゴンクエストの音楽が学校中に鳴り響く。

  ゲームが始まるのではない。国語と算数の基礎基本の学力定着を図る全校一斉の「パワーアップタイム」が始まる合図なのだ。時間は15分。各教室のテレビに表示されるタイマーが動き出す。配られたプリントに子どもたちは答えを記入し、全問済んだら、テレビ画面を確認して解答に要した時間を記録する。どの子の目も真剣だ。私語一つない。

  火、水、金曜は百マス、百題計算、計算ドリルと漢字練習、月曜と木曜は音読だ。

  足立区立小学校73校の2〜6年生を対象にした6月の国語と算数の学力調査の結果、五反野小学校は区の平均点を5〜8ポイントも上回る好成績をあげた。

  高い平均点は、できる子を伸ばしただけでは実現しない。下位層を丁寧にすくい上げる不断の努力があってこそ、達成できることなのだ。各児童に個別に向き合った教師たちの日々の積み重ねに感謝したい。

  「基礎基本の学力の定着に特に力を入れよう」

  学校理事会の決めた方針を受け、どんな手だてがよいか、教師たちが知恵を絞った。「基礎を身につけるドリルを反復練習するのが効果的だろう」という結論に達し、02年9月から始めたのがパワーアップタイムだ。

  この2年間、試行錯誤を重ねてきた。初めは3時限のうちの15分を充てていたが、国語と算数の授業時間が不足する事態に陥った。学校理事会のメンバーと教師が全国の先進校を視察したり、先駆的な取り組みを実践する学校の関係者を招いて勉強会を開いたりして検討を重ね、「朝はすがすがしい気分で臨めるし、脳の活性化にもつながる」と考えて今年4月から、始業前の15分間を割り当てた。

  教材は学校のオリジナルだ。算数は全学年共通で利用する百マス、百題計算と、解答を早く終えた子のために学年ごとに異なる計算練習問題を用意した。

  漢字練習の場合、年間を通して習う分を夏休み前までに前倒しして学べるようプリントをつくった。9月以降、辞書を引いて熟語の理解を増やす学習も取り入れた。週1回、進級テストがあり、子どもたちは自分の学習の定着度合いを確認できる仕組みだ。

  1人の教師が教壇に立ち、もう1人は机の間を回って子どもの理解度を確かめながら指導にあたるといったチームティーチングや、少人数指導とあわせ、着実に成果を出してきているように思う。

  「パワーアップタイムに取り組んだ音読の成果を披露する場を設けよう」

  校長が提案し、毎週木曜に体育館で開かれる児童朝会のあと、全校児童、参観に訪れた保護者、地域住民も見守る席で、クラスごとに発表することが決まった。2日が初日だった。声がそろっているか、元気がいいか、滑舌はどうか。他の学級や学年と競うコンテストのようなものだ。担任教師も子どもたちもちょっとドキドキワクワクだ。

  朝、各クラスの音読のハーモニーが校長室に心地よく聞こえてくる。

  「これを踏み台にして、もう一つ上の学びの段階に進んでほしい」

  提案した校長もまた、ドキドキワクワクしているのである。

        足立区立五反野小校長     三原 徹

     (2004年12月4日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)


やる気ある教師募ります

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[新校長日記]


初のコミュニティー学校
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  11月6日。足立区役所庁舎ホールで、あだち教育フォーラム2004「コミュニティ・スクールの可能性を探る」が開かれた。北は岩手県から南は佐賀、宮崎県まで、全国から470人の教育関係者が出席してくださった。私もその分科会で、「民間出身校長が進める学校改革」と題して、五反野小学校の取り組みを紹介した。ご参加いただいた皆様に感謝したい。

  いま、五反野小学校はめまぐるしいスピードで変化している。

  「先生、うちの学校って大変なことをしているんですね」

  校内でのPTAの会合に出席していた保護者が校長室に顔を出し、そんなことを言った。

  13日放送のNHKスペシャル「学校を変えるのは誰だ」を見ての感想だ。「学校理事会が機能し、保護者・地域のニーズを的確に把握した学校づくりを実現しつつある例」として五反野小学校が紹介されていた。自分たちもかかわった授業診断などが、学校を変える実例として大きくとり上げられたことに驚いたようだ。

  「そうです。学校を変えているんですよ、皆さんの声が」

  そう答えたものの、私自身にも、そんなすごいことを実践しているといった意識など、どこにもない。「すべては子どもたちのために」という思いだけだ。

  翌日以降、全国の教育委員会や学校から、視察の申し込みや資料として「授業診断シート」がほしいという要望が殺到している。

  五反野小学校が9日、保護者や地域住民が積極的に学校運営に参画する「コミュニティースクール」に初めて指定された。10日付の朝日新聞朝刊で、それが報じられていたことも理由の一つとしてある。

  コミュニティースクールとは、保護者や地域住民の声を学校運営に直接反映させ、保護者、地域、学校、教育委員会が一体となって、より良い学校をつくり上げていく取り組みだ。

  新しい法律が今年9月に施行され、地域住民や保護者が学校の基本方針をつくり、教職員の人事にも意見を出せるようになった。都道府県教委など最終的な人事権を握る機関も、これを尊重するよう定められている。

  全国初のコミュニティースクール指定を受けて、五反野小学校は、やる気のある人材を発掘するため、教師を公募することにした。

  子どもたちに学習内容を確実に身につけさせる。確かな学力向上を図るため、例えば、百マス計算や読み書きなどの徹底反復練習、個に応じた少人数指導などをとり入れた教育を推進する。

  保護者や地域の声は学校を支え、進むべき道を示す指針であることを片時も忘れず、子どもたちが高い学力と豊かな感性を身につけるよう不断の努力を傾ける。それが五反野小学校のめざす姿だ。

  学力向上に欠かせない基礎・基本の習熟に情熱を燃やし、地域と一体となった学校づくりに取り組もうと考える教師は大勢いるはずだ。未来を託す子どもたちのために、そんな意欲あふれる教師たちと一緒に新しい学校をつくりたいと考えている。

  「我こそは」と思わん方は、ぜひ、お問い合わせをいただきたい。

  25日が締め切り。詳しくはホームページ(。http://www.adachi.ne.jp/users/adgota/
)に紹介している
         足立区立五反野小校長   三原 徹

      (2004年11月20日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

保護者の目、教師を育てる

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新校長日記]


参観に授業診断シート
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  10月16日の土曜日、五反野小学校は朝から、人であふれていた。この日だけで全校児童441人を上回る570人もの保護者と地域住民が学校公開に参加したからだ。どの教室も子どもの数以上の人、人、人……。

  春と秋に1週間ずつ、授業を地域住民と保護者に公開する。あわせて授業診断をお願いし、参加者は「授業診断シート」を手に、熱心に授業を参観する。

  14日から20日までの1週間に延べ800人が来校した。保護者の総世帯数の2倍以上になる。子どもの育成に積極的にかかわろうとの意識が高まり、住民と保護者が「自分たちの声が、授業診断を通して学校に確実に伝わるようになった」と考えていることが大きな要因だろう。

  評価項目に関しては、年度内の2回は変えないが、必要があれば次年度以降、改善する。今年度は、開かれた学校づくり協議会の学校評価部会委員の提案と、教師の要望をすり合わせ、次の13項目を設定した。

  (1)教室内が整理整頓されているか

  (2)学習意欲を引き出す教材・教具の工夫は出来ているか

  (3)この時間に何を学ぶか、はっきりしているか

  (4)適切な学習の進め方や時間配分はできているか

  (5)丁寧でわかりやすい説明や問いかけ、指示はできているか

  (6)児童の間を回りながら、個に応じた指導や援助はできているか

  (7)教科の特色を生かして学習の形態を工夫しているか

  (8)教師は児童の発言をよく聞いて、丁寧に対応しているか

  (9)板書は、丁寧でわかりやすいか

  (10)学習は十分に児童に理解されているか

  (11)児童は授業の初めと終わりに、立ってきちんとあいさつをしているか

  (12)児童は教師の話をよく聞き、授業に集中しているか

  (13)児童は積極的に発言しているか

  何月何日の何時間目、何先生のどの教科を評価したのか明記し、各項目を5段階評価する。裏面の自由記述欄には、教師と児童の様子、学習・施設環境などを書き込んでもらう。

  1週間で回収した授業診断シートは490枚。結果はすぐに集計し、分析を加える。データは、教師たちと保護者・地域のコミュニケーションの場、意見交流会に示される。

  「私たちは、大勢の目で見守っていますよ」

  交流会で住民や保護者は、地域立の学校への関心の高さを語る。一方、教師側は(1)理事会の提案する「めざす学校像」を学級経営にどう生かしているか(2)授業診断データ、自由記述の意見をどう受け止め、どのように対応しようと考えているか、を答え、保護者・地域に要望を伝える。

  00年度から始まった授業診断は、教師にとって、初めは相当なストレスだったであろうことは想像に難くない。しかし、教師にとって最良のアドバイザーは保護者なのだ。自分のことはなかなか客観的に見られない。どうすれば教師としての力がつくのか、どこを改めればよいか。保護者は厳しい目で見て、教えてくれる。素直に耳を傾けたとき、それは宝の山となる。

  現状に安住してはならない、との自戒を込め、教師もPTA役員も名刺に同じコピーを刷り込んだ。「一歩前へ」

  良いと考えたら、すぐ取り組む。同僚教師たちは前向きだ。この姿勢がある限り、五反野小は歩みを止めない。

      足立区立五反野小校長   三原 徹

     (2004年11月6日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)

すべては子どものために

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[新校長日記]


理事会が支える地域立校
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  私がビジネスマンから小学校長に転じた大きな理由の一つは、五反野小が学校理事会の運営する学校だったからだ。「すべては子どもたちのために」の精神に立ち、地域立の学校づくりに取り組む気概が感じられた。ほかの小学校だったら、おそらく手を挙げなかっただろう。

  この地域は3世代住宅が20%以上を占めるという。昔ながらの人情と、自立自助の精神と豊かなコミュニティーを保ち、PTAをはじめ地域で学校を支える気風が脈々と受け継がれてきたという。

  五反野は、足立区が00年度から制度化した「開かれた学校づくり」運動のモデル地区である。公立の学校でありながら、私立の学校のような柔軟な経営方針の下に、学校を支える顧客の意見として保護者や地域住民の声を謙虚に受け止め、真摯しんしに対処する。こうした態勢が整っていることを着任してから実感した。

  柱の一つが、子どもたちが健やかに育つよう願い、かねて支援してきた町会長、民生委員、児童委員、青少年委員、元PTA会長ら地域の方々が00年度に結成した「開かれた学校づくり協議会」だ。協議会は「学校のオープン化」「地域の学校化」「学校の評価」の3部会に分かれる。

  オープン化部会は、子どもたち、学校、保護者の様々な活動の写真を撮影して正門前の掲示板で紹介したり、PTAとともに広報紙を発行したりする。

  地域の学校化部会は、地域住民とともにあいさつ運動や土曜スクールなどを展開する。

  学校の評価部会は、学校経営や授業を診断し、地域の声を学校運営に反映させる。

  こうした活動を実践する「開かれた学校づくり協議会」とPTAは、五反野小の学校運営を担う学校理事会と、いわば表裏一体の関係にある。

  文部科学省から02年度に委託された課題は「コミュニティースクールの可能性を探る」。英国には学校理事会制度があり、学校経営の基本方針を理事会が決め、校長が保護者、地域と一体となって学力向上に努めている。制度の趣旨に共鳴して、五反野小は日本版学校理事会設立へ舵かじを切った。

  公立学校としては日本で初めて、昨年1月に発足した理事会のメンバーは現在、保護者、地域、学校、行政の代表計11人。最高経営責任者である理事長に地域代表の大神田賢次さんが就任したのも、「地域立」を謳うたう五反野小の大きな特徴だ。

  校長である私は執行責任者として、理事会の承認した教育方針にもとづき、地域のニーズを学校運営に反映させ、地域の支援をいただきながら学校教育の展開を図るなど「地域立の学校づくり」に全力投球している。

  理事会の発足当時、保護者、地域、学校、行政の4者の代表が、五つのミッションステートメント(提案)を起草した。

  その第一は「めざす学校像」だ。(1)基礎・基本の確実な定着により、確かな学力を身につける学校(2)教師が生き生き、教師が「自ら学び、自ら考える」学校(3)家庭・地域が教育責任を分担し、心豊かな児童が育つ学校(4)地域の歴史や文化を大切にし、ふるさと五反野を誇れる学校(5)児童・保護者・地域がともにつくる特色ある学校−−、この五つである。

  地域立の学校である五反野小は校長が代わり、教員が異動しても、これが学校経営の中心に据えられている限り、軸足は揺らがない。

   足立区立五反野小校長 三原 徹

     (2004年10月23日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)
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