最新更新日:2024/04/16
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校訓「正しく 明るく 健やかに」

立春の卵

 今日の集会では,「思い込み」について話をしました。

 みなさんは,テーブルや床などの固くて平らな場所に卵を立てたことはありますか(集会で生徒に聞いたところ,誰もいませんでした)。生卵でもゆで卵でも構いませんが,コロンブスの卵のように,コツンと底の殻をつぶして立てるのではなく,そのまま立てるのです。
 中国の古い書物に,「立春の日には,卵が立つ」という話が載っているそうです。
 時は1947年。今から60年以上も前,終戦後すぐの頃,この話を知った人がマスコミに持ちかけ,東京,ニューヨーク,上海で公開実験をすることになりました。立春を迎える時刻に,新聞記者など多くの人たちが見守る中,卵を立てる実験が行われました。すると,なんと,どの3都市でも卵が立ったのです。この結果は当時,結構大きな騒ぎになったそうです。
 立春の日に卵が立つ。なぜでしょうか。立春で,春が立つのだから,卵ぐらい立つのは当たり前,といった非科学的な説明ではなく,誰もが納得できる説明を,いろいろな科学者に求めても,明確な説明ができる人はいなかったようです。
 しかし,当時,北海道大学教授だった物理学者の中谷宇吉郎(なかや うきちろう)は,この報道に疑問を感じ,すぐに解明に乗り出しました。彼は,世界で初めて人工雪の製作に成功した人です。また,雪の結晶を調べれば,高い空の気象の様子が分かる,ということを表す,「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残したことでも有名で,低温科学に大きな業績を残しました。
 中谷教授は,卵の表面を顕微鏡で観察したり,様々な部分を測定したりして,表面の細かな出っ張りをうまく接地させれば,卵は立つことを明らかにしたのです。つまり,卵は立春の日だけ立つのではなく,いつでも立つということです。立春の日に実験をし,卵が立ったから,立春の日には卵が立つ,となっただけです。仮に,毎週日曜日にこの実験を行い,卵が立てば,日曜には卵が立つ,となったことでしょう。
 要するに,卵は立たないものだ,と人々が思い込んでいただけの話です。このことを,中谷教授は「人類の盲点」と表現しています。
 科学の世界では,人々が思い込んでいる「当たり前」を当たり前ととらえず,大きな業績を残し,人類の進歩に貢献した人は多数います。
 例えば,地球の周りを太陽や星が回っている(天動説)と,誰もが信じていた15世紀頃,太陽の周りを地球が回っている(地動説)と唱えたコペルニクスもその一人です。
 「当たり前」「○○は△△だ」「そんなはずはない」といった思い込み。これらを覆すことで,人類は進歩してきたと言っても過言ではないでしょう。
 このことを,人間関係に当てはめてみるとどうでしょう。良い面としての思い込みならば,人間関係を円滑にするかも知れません。しかし,良くない面としての思い込みは,円滑な人間関係を作る妨げにしかなりません。間違った思い込みにより,本当は仲良くなれるはずの人と仲良くなれずに過ごしてしまう。こんな悲しくて残念なことはありませんね。
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