最新更新日:2024/04/25
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校訓「正しく 明るく 健やかに」

3学期始業式 式辞

 今日は3学期の始業式を行いましたので,そこで述べた式辞を載せたいと思います。

 今日は3学期の始業式。いよいよ今年度最後の学期が始まりました。大きな災いもなく元気に今日を迎えられたことをまずは喜びたいと思います。
 生徒の皆さんは,今年はどのようなことを成し遂げたいか,具体的な目標は決めたでしょうか。目標が決まったらあとは努力あるのみです。
 年が明け,私はのんびりとした正月を過ごしました。いくつかテレビ番組を観ましたが,その中で,パタゴニアを舞台とするウルトラトレイルレースのドキュメント番組が印象に残っています。パタゴニアは,南米のチリとアルゼンチンにまたがる地域のことで,南極に近く,多くの山や湖,氷河などがあり,手つかずの自然に囲まれています。このような場所で141kmの距離を走り抜ける,世界で最も過酷なレースと言われているのがこのウルトラトレイルレースです。コースの前半はパタゴニアの大草原。その先は30kmにも及ぶ原生林で,木が密集し見通しの悪い凸凹の悪路が続きます。原生林を抜けると次の難関,標高850mの険しい岩山。パタゴニア特有の強風が吹き付ける危険な岩場が7kmも続きます。この山を越えてようやく97km。その先には,砂利道を走るフルマラソン以上の距離が残っています。このような厳しいコースを46時間以内で走り切らなければならないため,昨年の完走率は30%。コースの途中で動けなくなり,大会スタッフに救助される選手も多数います。世界一過酷と言われるのもうなずけます。コースの後半,「神の領域」と呼ばれるこのレース最大の壁があります。肉体を酷使し続けると,体が完全に壊れるのを防ぐために脳は疲労や痛みという形で,もう限界だという信号を出します。神の領域とは,この信号と戦って走り続ける状態のことです。疲労はピークに達し,意識はもうろうとしてきます。それでも前へ進む。レースの終盤は脳が出す限界のさらに向こう側へと進む戦いです。
 このレースで第2位に入った日本人の鏑木(かぶらぎ)選手の言葉を挙げてみます。「苦しみ自体を滅多にない楽しい経験だと無理やり思い込ませる。心さえだます力というんですかね,自分の心を」「20何時間も山を走る世界は,まだまだ人間の知られていない能力が隠されていると思う」「限界を超えて,人間の領域を超える世界に入るので不安が大きい。超えなければ成し遂げられない世界なので,やらなければいけない」。また,59歳という大会最高齢者で見事に完走を果たしたオスカル選手の言葉は,「走ることは人生そのもの。逃げるわけにはいかない。幸せだよ」「こんなじいさんでも勝利をつかめた。すごく嬉しいよ。このメダルはただの鉄だ。でも私にはとてつもない価値がある」「どうしてゴールを目指すのかって? 自分にはまだやれる力が残っていて,やり遂げたいと思うからだ。強い精神力があれば,どんな困難にでも絶対に打ち勝てるはずだ」
 ところで,このレースの序盤は,優勝候補の選手に引っ張られてかなり速いペースで進んでいきました。そして優勝候補の選手を含め,多くの選手が脱落していきました。そんな中で勝利を勝ち取ったトーマス選手や2位の鏑木選手は,あくまでも自分のペースを守り抜きました。
 生徒の皆さんは,ここで挙げたいくつかの言葉や,自分のペースを守って勝利した選手がいた事実からどのようなことを感じるでしょうか。やはり自分のペースを守ることの大切さや,今後,自分の限界だと思ったときに,もうちょっとだけ頑張ってみようかな,といったこと。そして,パタゴニアを走る自分を想像し,周りの大自然を楽しむ心のゆとりも欲しい。こんなことを私は思いました。
 この1年をどのような時間にするのかは自分自身です。年末にこの1年を振り返ったときに,達成感の残る,充実した1年だったと思えるようにして欲しいと願っています。皆さんの健闘を祈ります。
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