最新更新日:2024/03/22
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校訓「正しく 明るく 健やかに」

品野中の掃除

 本日の集会では,本校の掃除について話をしました。

 昨日今日と,暖かい日が続いています。春一番が吹いたとの便りもありました。これからも寒い日と暖かい日を繰り返し,季節は確実に春へと向かっていきます。そんな季節の移り変わりを,見たり感じたりできる心のゆとりが欲しいものですね。
 さて,2週間ほど前ですが,皆さんの掃除の様子をご覧になるために長久手市役所から8名の方が来校されました。11月の教育研究発表会で皆さんの掃除をご覧になった方が感銘を受けられ,是非市役所の方にも見てもらいたいと考えられ,来校の運びとなりました。
 今回は,単に掃除の様子をご覧になるだけではなく,市役所の職員の皆さんにとって何か参考になることはないか,といった目的を持たれた上での来校でした。わざわざ遠くから来校し,中学生の活動を参考にしようということは,なかなかできるものではありません。そんな姿勢に頭が下がる思いです。
 来校された皆さんは,掃除に一生懸命取り組んだり笑顔でハキハキとあいさつしたりしている姿をほめてくださいました。品野中の職員として,これほどうれしいことはありません。ただ,そこで少し考えたのですが,生徒の皆さんは,掃除やあいさつを,ほめられるから行っているわけではありませんね。外部の方が見てほめてくれる。だから一生懸命掃除やあいさつをする。そんなことはないはずです。学校がきれいになるから,気持ちが良いから,良いことだから,当たり前のことだから,伝統だから,などなど,動機は様々です。もちろん,ほめられるから行う。これも立派な動機です。しかし,ほめられなくてもきちんとする。そこに価値を見出したいですね。
 来校された方からお手紙をいただきました。そこには,品野中の清掃活動見学を励みにし,市の公共施設職員全てが品野中生徒のように生き生きと活動できるよう前進したい,と書いてくださいました。見ていただいた私たちにとって,とてもありがたい言葉です。私たちもこの言葉を励みにしたいですね。
 お手紙の中には,生徒の皆さんへの「贈る言葉」が同封されていましたので,紹介したいと思います。

 生徒の皆様,再びの感動をありがとうございました。必ず将来の財産になります。
(贈る言葉)
  掃除のきれいさは,自分の心の高さで決まる
  掃除は,自分の心の鏡である
  手抜きしない人が,人を成長させる
  掃除は雑にやれば,雑用がふえる
  きれいにすればする程きれいになる

「大きな目標を持って頑張りましょう!」

ギブ・アンド・ギブ

 昨日の集会では,火事のときの近所の人たちの動きから,「ギブ・アンド・ギブ」についての話をしました。

 先日の土曜日のことですが,私の家の近くで火事がありました。大丈夫かなあと思い,様子を見に行きました。消防車はまだ到着していませんでしたが,近所の人たちが水の入ったバケツやそれぞれの家庭にある消火器を持って集まってきていました。また,消防車が到着したときに,消火作業の邪魔にならないよう,路上駐車してあった車を移動させる人もいました。自分たちでできることは何かないか,できることは何でもしよう,そんな気持ちが伝わってきました。ほどなく消防車が到着し,無事に鎮火しました。幸いけが人もいなかったようです。
 実は,私自身も火事を経験しています。高校3年生のとき,今から40年ほど前の4月のことです。確か朝の9時頃だったと記憶していますが,学校で理科(地学)の授業を受けていたとき,担任の先生が教室に見えて「今,家が火事で燃えているからすぐに帰宅しなさい」と言われました。急いで学校を出ました。尾張瀬戸駅を降り,走って家に向かいました。次第に家が近づくと,空に煙がもうもうと上がっているのが見えました。我が家はどうなってしまうのだろう,そんなことを考えながら急ぎました。帰宅してみると,なんとか火は収まり,家にいた母も無事でした。聞くところによると,隣接している工場から火が出て,それが我が家に燃え移ったようです。ちょうどそのころ,衣替えの時期で,母が冬物と夏物を全て出し,入れ替え作業をしているときで,それらの衣類を近所の人たちが協力して運び出してくれたそうです。おかげで着る物がなくて困ったということはありませんでした。また,近所の人たちが炊き出しでおにぎりを作ってくれました。火事に遭った我が家のことを思い,近所の人たちが一生懸命動いてくれたことを思い出すと,今でも感謝の気持ちが湧いてきます。
 先日の火事と40年前の火事。近所の人たちの行動を思い出すと,やはりいざというときには周りの人たちとの助け合いが大切だと改めて感じます。そして,動いてくれた人たちの気持ちを想像すると,それは決して見返りを期待したものではないと思います。生徒の皆さんも,周りの誰かが困っていると,何とか助けてあげられないか,自分にできることは何かないだろうかと思うことがあるのではないでしょうか。そのときの気持ちは,見返りなどは期待していないと思います。まさに,「ギブ・アンド・ギブ」ですね。
 そういえば,かの福沢諭吉も次の言葉を残しています。

 世の中で一番尊いことは,人のために奉仕して,決して恩に着せぬことです

 「ギブ・アンド・ギブ」と通じるところがありますね。

道具を大切に

 今日の集会では,道具を大切にしよう,という話をしました。

 冬としては珍しく,今日は雨が本降りです。関東地方や北の地方では大雪が降っていますが,この地方も今週のどこかで雪の予想が出ています。今日も校門付近にいると,一人の生徒が「雪が降ったら足下に気をつけてください」と優しい言葉をかけてくれました。生徒の皆さんも,雪の日には転倒などに気をつけて登校してください。
 さて,先日八ヶ岳に行ってきました。実は八ヶ岳という山はなく,八つの山が連なった長野県と山梨県の境にある山域を八ヶ岳と呼んでいます。その中の一つ,赤岳に登りました。ここは標高が2900mほどあり,冬ですので,登山ルートは積雪があったり凍ったりしています。そんな斜面を登るのに欠かせない道具が,アイゼン,ピッケルです。アイゼンは鋼鉄でできた爪で,登山靴の底にベルトなどで固定し,滑り止めとして使います。ピッケルはツルハシのような形をしており,歩くときにバランスを取ったり雪や氷の斜面を削って足場を作ったり,あるいは斜面を滑落した場合のブレーキとして使います。その他,冬用の登山靴は,アイゼンを固定するため革などのガッシリとした堅い素材でできています。これらの道具は,20年ほど前に購入し,今でも使っています。命を預ける道具たちですので,油を塗ったり磨いたりして手入れしていますが,アイゼンやピッケルは,岩などに当たり,随分傷ついたり塗装がはがれたりしています。靴もすれたり傷ついたりしています。でも,アイゼンはベルトを交換し,靴も底を何度か張り替えて大切に使っています。
 生徒の皆さんも,自分の使っている道具がいろいろあると思います。ペンやノートなどの勉強道具。ボールやラケット,竹刀などの部活の道具。歯ブラシや傘など,日常生活に欠かせない道具。これらを大切に使っているでしょうか。例えば,バスケットボールがないとバスケットはできません。ペンがないと文字が書けません。雨の日には,傘がないと濡れてしまいます。もしもこれらの道具がなかったら,と考えてみたことはあるでしょうか。今できていることのほとんどできなくなってしまうのではないでしょうか。
 人と動物の違いは様々ですが,最も大きな違いの一つが,道具を使うか使わないかです。道具を使うと言われているチンパンジーやゴリラなどの類人猿のDNAは,人とほとんど変わらないそうです。人は道具を作り,それを使って考えたり物を作ったり,移動したりするなど,様々なことを行い発展してきました。道具は人にとって,なくてはならないものです。そんな道具を,皆さんの身の回りにある道具を,是非大切に使ってください。大切に使えば愛着がわき,道具に対して感謝の気持ちもわいてくると思います。

3学期始業式 式辞

 今日は3学期の始業式でした。今回はそこで述べた校長式辞を載せたいと思います。

 皆さん,新年明けましておめでとうございます。
 平成27年を終え,無事に28年を迎えられたこと,そして,皆さんが大きな事故や病気,ケガもなく3学期を迎えられたことを感謝すると共に喜びたいと思います。
 2学期の終業式で,家族と一緒にお正月の行事に参加しましょう,といった話をしましたが,年末年始はどのように過ごしたでしょうか。私は年末に家の大掃除をし,普段やっていないところまできれいにしました。改めて思いましたが,一度きれいにすると,できるだけ長い期間汚さないように,きれいな状態を保ちたいと思いました。
 元日,私は山を歩いてきました。春日井市と多治見市の境に,道樹山,大谷山,弥勒山という三つの山が連なる登山コースがあります。標高はどの山も430mぐらいでそれほど高くはないのですが,結構歩きがいがあり,人気のコースです。初めに道樹山に登りました。ここには小さな神社がありますので,初詣をし,お参りしました。続いて大谷山を通過し,弥勒山に到着。ここではカップ麺のソバを作り,前日の大晦日に食べることのできなかった年越しソバを食べました。弥勒山の山頂からは,名古屋駅のビル群や太陽に照らされて光る名古屋港の海が見えました。また,反対方向には御岳や中央アルプスが白い姿を見せてくれました。御岳は,一昨年大きな噴火がありましたが,今は噴煙を上げることもなく,静かで堂々とした姿が印象的でした。山を歩き,気持ちのいい汗をかくことができました。また,素敵な展望を臨むこともできました。今年も何か良いことがありそうな予感のする,そんなお正月でした。
 さて,ここに500枚の紙の束があります。今からここに1枚の紙を増やすか減らすか,あるいは何もしないか,いずれかのことをします(始業式では,生徒から見えないように,実際に1枚の紙を増やしました)。さあ,紙は増えているでしょうか減っているでしょうか,変わらないでしょうか。紙を1枚増やしたり減らしたりしたところで,変化の様子はよく分かりません。日々の努力とは,このようなものです。少しぐらい努力をしても,その成果が目に見えて分かることはほとんど無いでしょう。しかし,その小さな努力を毎日紙を重ねるがごとく続けることによって,成果が見えてきます。逆に,少しぐらい怠けてもその人の力が目に見えて落ちることもないでしょう。しかし,それが続くと・・・。
 月並みですが,3学期の初めにあたり,皆さんに「継続は力なり」という言葉を贈ります。小さな努力でも,それを続けることによって大きな力となり,成果が現れてきます。皆さんは,年の初めに目標を立てたはず。その目標の実現に向けて,努力を続けて欲しいと思っています。
 3学期は,あっという間に終わります。3年生はもうすぐ卒業し,4月からは進路先で新たな世界が待っています。1・2年生はそれぞれ学年が上がり,新しい仲間を迎えます。新年度に,より良いスタートが切れるよう,残りの日々を充実させてください。

2学期終業式 式辞

 今日は2学期の終業式でした。今回はそこで述べた校長式辞を載せたいと思います。

 平成27年も,今日を含めてあと10日となりました。
 日本漢字能力検定協会が,この一年を漢字一文字で表すとどのような文字になるかを毎年一般から公募しています。平成27年は,「安」に決まったそうです。
 この文字を大きく描かれた清水寺の森清範(もりせいはん)という住職が,次のような話をしてみえます。

 「安」という字は,家の中で女性がくつろぐということからできている字です。しかし,今回「安」が選ばれたのは,「不安」の安ではないかと思います。安保法制がこれでいいのかという不安。社会的にも不安があります。自然災害も不安です。外国に行くと,難民・戦争・テロといった命への不安があります。安という字を選ばれた背景には,「来年こそは安心した安全なる社会を作っていこう」という思いからではないかと思いました。その願いをこめてこの字を描かせてもらいました。

 この文字を応募した一般の人たちの多くが,不安の「安」をイメージしたそうです。また,安倍総理の「安」をイメージした人もいたようです。
 生徒の皆さんは,今年を振り返ったとき,「安」はどういった意味の「安」でしょうか。「不安」?それとも「安心」「安全」? あるいは「安直」「安易」? 来年は,誰もが安心して安全に暮らせるようにしたいですね。
 さあ,今日で2学期が終わり,明日から冬休み。お正月もあります。
 昔から,元旦(1月1日の朝)には「年神様(としがみさま)」という新年の神様が,1年の幸福をもたらすために各家庭に降臨するとされています。その年神様を迎え入れてお祝いし,たくさんの幸せを授けてもらうために,大掃除や除夜の鐘,鏡餅,しめ縄など,様々な正月行事や風習が生まれました。
 冬休みは,家族や親戚の方と過ごすことが多いと思います。日本の文化である正月行事に参加し,心静かに新年を迎え,お祝いしてはどうでしょうか。そして,平成28年の目標を決めて欲しいと思います。
 次に皆さんと会うのは,1月7日の始業式です。全員が健康で安全に冬休みを過ごし,元気に登校することを願っています。そして,28年の新たな目標に向かって進み始めてください。
 では,よいお年をお迎えください。

研究発表会で

 今日の集会では,先日行った本校研究発表会でいただいた,生徒へ声を中心に話をしました。

 先日,非常に多くのお客様が本校に来校され,生徒の皆さんの様子を,授業を中心に見ていかれました。参加されたのは332名。品野中の生徒と職員を合わせた数よりも多数の方が来校されました。
 来校された方の中で,次のようなお話をされていた方がみえました。
 先日,福井県の永平寺中学校に,掃除の様子を見に行ってきた。ここの掃除はテレビでも紹介されるぐらい素晴らしいということだったが,本当に素晴らしかった。しかし,今日,品野中の掃除を見たが,永平寺中に勝るとも劣らないほど素晴らしい掃除だった。

 そして,その後,お手紙までいただきました。簡単にその内容を紹介します。
 私が一番感心したのは,清掃活動とあいさつ。生徒一人一人が笑顔で礼儀正しくあいさつをしてくれた。また,清掃活動では,キビキビとした動作で掃除に取り組む姿に目を奪われた。「美しい環境には美しい心が育つ」「当たり前のことをひたむきに実行する」姿に感動した。素晴らしい。今後も自信と誇りを持って「心磨き」に取り組んでいただきたい。
 また,お手紙の中に,心にとめておくべきこんな言葉も添えてありました。

「掃除を徹底すると」・・・・
自分づくりができる 気づく人になる 謙虚な気持ちになれる 周りに感謝できる 礼儀正しくなる 美意識が高くなる 校風が良くなる 信頼が得られる

 いかがですか。お手紙をいただいたこと,また,その内容に,感謝せずにはいられません。
 この方以外にも,多くの方から,生徒の皆さんに対しておほめの言葉をいただ
きました。研究発表会のアンケートから,その一部を紹介します。

・ どの子も授業に参加しようと意欲的だった。
・ 生徒たちが輝いていた。多くの先生方に参観していただき,誇りを持って授業に臨んでいた。
・ 授業中,ある生徒に日差しが当たっていたので,カーテンを閉じてあげたら,こちらを向いてニコッとした。そして頭を下げた。感謝の思いを伝えることを忘れない素敵な子が育っていると思う。
・ 子どもたちが学級や学校を好きと思える様子が表情から伝わってきた。
・ 学び合いによって,生徒が生き生きしていた。
・ 男女関係なく教え合ったり活動し合ったり雰囲気がとても良い。
・ 子ども同士の意見がつながり合い,まさに学び合いができていた。
・ 生徒が活発に動き,頭を働かせていた。生徒の「知りたい」「説明したい」という思いがあふれていた。

 生徒の皆さんの様子を見られ,こんなにもおほめの言葉をいただき,高く評価してくださいました。皆さんにとっては当たり前のことを当たり前にやっていただけかも知れません。しかし,何も特別なことではなく,普段行っていることを,当たり前にやっているからこその高い評価なのだと思います。今後も,品中生として誇りを持ち,当たり前のことをひたむきに取り組んで欲しいと思います。

品野中の文化

 今日の集会では,品野中の文化についての話をしました。

 先日,文化祭が行われました。生徒の皆さんが書いた感想を読むと,準備や練習から本番を通して,様々なことを経験し,多くのことを感じ,学んだことがよく伝わってきました。今年も大きな成果を残して終えることができたと思っています。
 さて,「文化」とは何でしょう。何となくは分かりますが,言葉にして表現するのは難しいですね。辞書を引いてみると,「人類が自らの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体で,それぞれの民族や地域,社会に固有の文化がある」というような意味のことが書かれていました。なるほど,ですね。
 では,品野中の文化とは何でしょう。つまり,品中生が,自らの手で築き上げてきた成果とは何か,ということです。どのようなことが思い浮かぶでしょうか。例えば,学校の中だけではなく,地域でも交わされる明るく元気なあいさつ。全員が一生懸命で,隅々まできれいにする掃除。上級生から下級生に伝え,高め合う,体育祭での応援など。もちろん,先日の文化祭で発表した合唱も,品野中の文化と言っていいのではないでしょうか。
 ここ数年,授業で行っている「学び合い」はどうでしょうか。品野中の文化と言っていいのでしょうか。先に挙げた,あいさつや掃除,応援や合唱などは,随分以前から品野中の伝統として受け継がれ,当たり前のように行われています。ですから,これらは皆さんの中にしっかりと根付いており,品野中の文化と言ってもいいと思います。しかし,品野中の「学び合い」はまだ歴史が浅く,根付いているとは言えないような気がします。ただ,普段の授業では,仲間と相談したり,分からないことを気軽に聞き合いながら課題を解決する姿が随所に見られます。また,先回の集会で表彰した,「数学コンクール」で獲得した4名の生徒の奨励賞ですが,これは,普段から仲間と共に課題を解決しようとしているからこその受賞のような気がします。ですから,しっかりと根付いてはいないかも知れませんが,根付きつつあるようには思っています。
 「これよく分からない」「ねえ,教えて」「どこが分からない?」「どう思う?」「自分はこう思うけど」 こういった会話が,今以上に当たり前に交わされるようになったとき,皆さんの中に「学び合い」がしっかりと根付き,品野中の文化と言えると思います。
 品野中の文化。まだまだ他にもありそうです。品中生みんなが,品野中の文化を理解し,守り,広げ,継承していって欲しいと願っています。

どうぞのいす

 今日の集会では,絵本についての話をしました。

 今年は,柿本幸造氏(絵本画家)の生誕100年です。それを記念して,安曇野市にある絵本美術館で,彼の原画展が開かれていたので行ってきました。
 様々な展示がありましたが,「どうぞのいす」(作・香山美子 絵・柿本幸造)の原画も,物語と共に展示してありました。ほんわかとしたいいお話でしたので,あらすじを紹介します。

 うさぎさんが,小さないすを作りました。そして,「どうぞのいす」と書いた立て札も作り,原っぱの大木の近くに,いすと立て札を置きました。
 初めにロバさんが来て,たくさん拾い集めたドングリの入ったカゴをいすに置き,自分は木にもたれて昼寝を始めました。そこにクマさんがやってきて,「どうぞなら遠慮なくいただきましょう」と,ドングリを全部食べてしまいました。「でも,空っぽにしてしまっては,あとの人にお気の毒」と,代わりに蜂蜜の瓶をカゴに入れていきました。ロバさんはまだ昼寝をしています。次にキツネさんがやってきて,蜂蜜を全部なめてしまい,代わりに持っていたパンをカゴに入れていきました。次は10匹のリスさんがやってきました。そしてパンを全部食べてしまい,代わりに持っていたたくさんのクリをカゴに入れていきました。
 ロバさんが目を覚ましました。カゴを見て,「あれれ,ドングリってクリの赤ちゃんだったのかしら」 まさか! ロバさんのお昼寝が少し長すぎたんですよね。

 私の家にもこの絵本があったので,本日の集会では,生徒に読んで聴かせました。このお話は,何を伝えたいのでしょうか,テーマは何でしょうか。私が感じたのは,「思いやり」です。しかも,見える相手ではなく,分からない誰かへの思いやりです。
 この「どうぞのいす」は,1981年に出版され,今でもよく買われる,30年以上ものロングセラーの絵本です。絵本は,両親や祖父母の方が,自分の子どもや孫に読んで聴かせたい,読ませたい,という想いで買われると思います。「どうぞのいす」がこれだけロングセラーだと言うことは,「思いやり」のある人になって欲しいと願う大人が,いかに多いかの現れなのかも知れません。
 絵本は小さな子どもの物,と思いがちですが,皆さんのような中学生が読んでも,何か感じることや学べることがきっとあると思います。一度手に取って見てみてはいかがでしょうか。

岩屋堂ライトアップ

 今日の集会では,品野地域にある岩屋堂のライトアップについて話をしました。

 朝晩随分寒くなりました。集会で生徒の皆さんの服装を見ても,多くの人が冬服を着ています。今日の予想最高気温は25度です。気温の変化が大きいので,各自で調節をし,風邪など引かないようにしてください。
 さて,私は先日,「ヘブンスそのはら」というスキー場に行ってきました。まだ積雪はありませんので,スキーに行ったわけではありません。ここが行っているナイトツアーに参加し,星を見てきました。当日は雲一つない好天で,素晴らしく美しい星空を見ることができました。あまりにもたくさんの星が見えるため,星座の特定もできないほどでした。また,夜空にぼんやりと帯状に,雲のように伸びるものが見えました。そう,天の川です。英語ではMilky Way(ミルキーウェイ)。肉眼で天の川を見ることは,そうそうできるわけではありませんので,とても感動しました。
 このような美しい星空ですが,スキー場に着いたときには,星はほとんど見えませんでした。それは,灯りが煌々とついていたからです。しかし,その灯りが全て消えた瞬間,夜空には輝く星が・・・。参加者からは,「おーっ」という歓声が上がるほどでした。そして,再びスキー場に灯りがともったとき,あれほど美しく輝いていた星は,一瞬のうちに消えてしまいました。このとき,人工の光は,夜空のきらめく星の美しさを隠してしまうのだと改めて思いました。
 しかし,人工の光が,自然の美しさをよりいっそう際立たせることもあります。それは,桜や紅葉のライトアップです。もちろん,自然の太陽光の下での桜や紅葉も,とても美しく,見る者を感動させますが,夜の闇にライトアップされて浮かび上がる桜や紅葉も,それはそれは美しいものです。
 ところで,生徒の皆さんの身近にも,紅葉がライトアップされる場所があります。そう,岩屋堂ですね。岩屋堂のライトアップは今年で9回目。過去にここを訪れたことのある生徒も随分いるようです。私も何度か行きましたが,それは見事な美しさです。静かな水面に映り込む,あるいは,闇の黒を背景に,鮮やかに輝く紅葉は,本当に美しく,来てよかったと,心から思わせてくれます。また,美術窯業部の生徒やPTAの皆さん作成のランプシェードが展示されていることも,素敵な雰囲気作りに一役買っているようです。
 岩屋堂のライトアップは,これまで地域の方々に支えられ,続いてきました。そして,今後も続けて行くには,やはり地域の方の力が必要です。特に,後継者が必要です。中学生である生徒の皆さんは,今,何かをすることは難しいかも知れません。しかし,地元にこのような素晴らしい場所があることを意識し,将来は自分たちで守っていくという気持ちを持つことが大切だと思います。岩屋堂のライトアップは地域の宝です。岩屋堂自体,ライトアップされなくても宝だと思います。また,祇園祭など,他にも地域の宝はたくさんあります。将来,これらを引き継ぎ,末永く守り,次世代につないでいくのは,やはり若い中学生の皆さんです。

せともの祭廉売市から

 今日の集会では,本校が参加した「せともの祭」廉売市から感じたこと,思ったことについて話しました。

 昨日,一昨日と,せともの祭がありました。品中でも,道の駅のところに店を出して廉売市に参加し,A組や美術窯業部,PTAの皆さんの作品を販売しました。品中の生徒や一般の方はもちろん,生徒のご家族や卒業生など,多くの人が店をのぞいてくれました。市長さんや議員さん,教育長先生も来店されました。中には,35年前の品中PTA役員の方もみえ,当時も廉売市に参加していたとおっしゃっており,改めてその歴史の長さを感じました。また,本山中の元PTA会長さんも来店され,品中の品数の豊富さに驚き,「これだけの品数をそろえるのは大変ですね」とおっしゃってみえました。
 5月の連休明けから約4ヶ月間,計画立案や作品作りなど,長期にわたる様々な準備を経て当日を迎えます。この活動が充実し,多くの人が「よかった」と思えるようにするためには,大きな力を継続的に発揮する必要があります。この活動に関わってきて毎年思うことは,品中PTAの「和」と「行動力」です。また,改めて感じたことは,PTAの皆さん,お一人ずつ異なったキャラクターがあり,持ち味があり,それらが結集した力の大きさです。いろんな方がいらっしゃるからこその力であると感じました。
 このことは,生徒の皆さんにも当てはまるように思います。一つの学級や学年には,いろんな人がいます。元気な人やおとなしい人。文系の教科が得意な人もいれば,理数系や芸術系の得意な人もいる。掃除が好きな人や部活にこだわる人,こつこつ取り組むことが得意な人。一人一人のキャラクターや持ち味はそれぞれ違います。違った持ち味の人が集まるからこそ,大きな力を発揮できる。もちろん,一人一人をつなぎ,力を結集するのは,「和」であり,仲間としての意識です。
 体育祭まであと2週間を切りました。2学期に入り,例年以上に雨が多く,先週は台風の影響で学校が休みの日もありました。思ったよりも練習時間が取れていないように思います。また,来週は5連休があり,連休明けには,もう予行練習があります。準備や練習時間のことを考えると,かなり厳しい状況にあるのではないでしょうか。しかし,このような状況だからこそ,皆さんの力を発揮して欲しい。和と仲間としての意識で力を結集して欲しい。力を発揮するのは準備や練習のときです。本番はその結果を発揮する場。皆さんがどのような姿を見せてくれるのか,とても楽しみにしています。
 最後になりましたが,せともの祭,品中廉売市に関わられた全ての皆さんに,お疲れ様でした,そして,ありがとうございました,と伝えたいと思います。

2学期始業式 式辞

 今日は2学期の始業式を行いましたので,式辞の内容を載せたいと思います。

 いよいよ今日から2学期が始まりました。夏休み中,命に関わるような大きな病気やケガ,事故などがなかったことに,まずは感謝したいと思います。
 今日を迎えるにあたり,夏休みの後半は,助走期間として,心や体の準備はできましたか? 気持ちを高めて今日を迎えることができましたか?
 さて,出校日の講話で,村上春樹氏の作品「アフターダーク」の中の「人間は記憶を燃料にして生きていく」という言葉を紹介しました。また,この作品に書かれている,1万円札であろうと,広告チラシであろうと,火にくべればどれもただの紙切れで,燃料としては同じであり,どんな記憶も同じように燃料である,ということも紹介しました。皆さんは,このことをどのように考えましたか?
 正解は,村上氏に聞いてみないと分かりませんが,私は次のように解釈しました。
 長い人生の中で,人は必ず苦しいことや悲しいこと,辛いことに出合います。そんなときに,生きていく励みになるのがその人の「記憶」であり,「記憶」が燃料になるということ。苦しいときに,楽しかったよい記憶を思い出し,またいつかこんな時が来ることを願いながら今日を頑張る。あるいは,苦しかったよくない記憶を思い出し,あのときを乗り越えたから今日があり,今度もまた頑張って乗り越えようという勇気を奮い起こす。
 「人間は記憶を燃料にして生きていく」とは,このような意味ではないでしょうか。
 記憶は,その人の体験したことや読んだり聞いたりした話,仲間との会話,あるいは考えたことなどが脳に蓄積したものです。
 2学期も様々な行事が控えています。日々の授業や掃除,係活動,部活動などもあります。そのような中で,皆さんは,様々なことを体験し,考え,学んでいきます。そして,それらが脳に蓄積され,記憶として残ります。誰もがよい記憶を残したいと思うでしょう。私も,皆さんにはよい記憶をたくさん残して欲しいと思っています。しかし,そんなにうまくいくとは限りません。でも,先ほど述べたように,よい記憶だけではなく,よくない記憶も,人が生きていく上では燃料となるのです。
 皆さんが,今学期,どのような体験をし,素晴らしい姿を見せてくれるのか,とても楽しみです。
 品野中の全ての人にとって,充実した2学期となるよう心から願い,式辞とします。

1学期終業式 式辞

 今日は1学期の終業式を行いましたので,式辞の内容を載せたいと思います。

 今日で1学期が終わります。命に関わるような,大きな病気やケガもなくここまで来られたことに,まずは感謝したいと思います。
 皆さんにとって,今学期はどのような学期だったのでしょうか。感じ方はそれぞれで違いますから,是非,一人一人が振り返ってみて欲しいと思います。
 集会の講話でよく話したのは,大きな行事はもちろん大切ですが,毎日繰り返される,日々の授業や部活動,清掃や給食,友達との何気ないふれ合い,こういったことを大切にして欲しい,ということです。ですから,今学期を振り返るときに,大きな行事だけではなく,日々の様々な取り組みに目を向けてください。皆さんの生活は,こういったことの積み重ねで成り立っているのですから。
 先日,この3月に卒業した生徒が,母校訪問ということで来校してくれました。様々な話題に花が咲きましたが,品野中での学び合いについての話も出ました。「学び合いはよかった。楽しかった」「高校でもできるといいのに」といったことを,誰もが言っていました。卒業生にとって,品野中の学び合いは,かなり好印象を持って受け入れられているようです。卒業文集を読んでみると,卒業生90名ほどの中で,学び合いについて書いている人が,30名近くもいました。私はこれまでに,何冊もの卒業文集を読んできましたが,授業について書かれたものは,ほとんど見たことがありません。やはり,それだけ学び合いが印象に残っているのでしょう。卒業文集の中から,学び合いのよさに関するキーワードをいくつか拾ってみます。「考え方や解き方の種類が増えた」「教えることで,自分が本当に理解したかが分かる」「人の気持ちも考えられる」「問題を深く考えられるようになった」「分からない,と言えるようになった」「たくさんの伝え方の手段」「自分の意思や考えを言葉にできるようになった」「話し合うことや学習の面白さを知った」「助け合い,協力し合う喜び」。
 学び合いによって,授業がどのように変わるのか,何を感じ,学ぶのか,それは,授業に参加するときの気持ちや心構え,真剣さの度合いなどによって様々です。今学期を振り返るときには,授業での学び合いについても振り返ってみてください。そして,学び合いを通して,自分は何を得てきたのかを考えてみてください。
 さあ,明日からいよいよ夏休みです。自分の判断で自由に使える時間が,普段よりもずっと多い夏休みです。皆さんは,その時間を何に使うのでしょうか。時間の使い方は,その人の価値観によります。人は,大切に思う(価値を見出している)ことに,より多くの時間を使います。改めて問います。あなたは夏休みの時間を何に使いますか?
 最後になりましたが,私が最も強く思うのは,皆さんの健康と安全です。9月1日の始業式には,全員が元気に登校できますよう願っています。
 では,有意義な夏休みを過ごしてください。

チャイルドとチルドレン

 今日の集会では,子どもを表す英単語,「チャイルド」と「チルドレン」から考えたことを話しました。

 英語で子どものことを「チャイルド」と言います。そしてこの単語の複数形,つまり子どもが何人かいた場合は「チルドレン」と言います。
 私が中学生時代にこのことを知ったとき,普通,複数形は単語の後ろに「s」を付ければいいだけなのに,どうしてこんなにも違った単語になってしまうんだろう,憶えるのが大変だ,と思ったことを記憶しています。
 どうしてこんなに違う単語なのでしょう。そこには深い意味が・・・。子どもは,一人の場合と何人かいた場合とでは別の存在だ,と言うことではないでしょうか。
 大人にも言えることですが,子どもが何人か集まると,一人では決してしないような悪いこともやってしまうことがあります。一人一人は,心の中で「これはやってはいけない」と思っていても,みんなの前では言いにくい,雰囲気に流されてしまう,気が大きくなってしまう。こんな経験は誰にもあるのではないでしょうか。随分以前ですが,お笑いの北野武さんが「赤信号,みんなで渡れば怖くない」と言いました。まさにこれです。
 何人かいると悪いことばかりかというと,決してそうではありません。例えば,体育祭の応援合戦。一人で踊っているのを見ても,「素晴らしい。上手だ」と感じることもありますが,何十人もの生徒が力の限り声を出し,一糸乱れぬ踊りを披露したときの迫力は,到底表現できません。また,集団でしかできない動きもあります。
 これは,合唱でも言えます。心を一つにして,多くの人が歌うからこそ,美しいハーモニーが生まれ,迫力も出ます。
 さらに,皆さんが授業で行っている「学び合い」も,決して一人ではできません。もちろん,一人で問題を解いたり教科書を読んだりして学習を進めることはできます。十分な成果を上げることもできます。しかし,「学び合い」では,分からないことを周りの人に聞くことができます。そして,聞かれたことを相手に説明することによって,自分の理解を確かなものにできます。また,自分の考えを伝えたり他の人の考えを聞いたりしながら,考えを広げたり深めたりできます。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあります。文殊とは,知恵の菩薩(将来,仏様になる者)のことです。つまり,特別頭のいい人でなくても,三人寄れば,文殊に負けないほどのよい知恵を出すことができる,という意味です。実際に,「学び合い」を通して,いい解決方法が見つかった経験のある人も多いのではないでしょうか。
 良くも悪くも,集団の力は大きいです。学校は,生徒が集まる場所です。そんな学校だからこそできる活動を大切にしていきたいと思っています。
 チャイルドとチルドレンという英単語から,こんなことを考えてみました。

一冊の本から

 今日の集会では,一冊の本を読んで感じたことを話しました。

 本校では,生徒玄関を入ったところに本が並べてあります。そして,生徒が自由に手に取り,ノートに必要事項を記載し,借りていけるようになっています。私も先日,一冊の本を借りました。「人質の朗読会」(小川洋子著)という小説です。
 旅行者が企画したツアーに参加した8名の人たちが,遠く離れた外国で拉致,監禁されました。事件を解決しようと,特殊部隊が動きますが,残念ながら被害者は犯人によって爆破され,全員亡くなってしまいます。特殊部隊の人たちも何人かが亡くなったり負傷したりしました。
 拉致,監禁された被害者は,捕らえられているときに,一人一人の思い出を語ります。この小説は,その内容が短編集のような形で載せてあります。そこでは,人生の大きなイベントや出来事ではなく,日常の,ほんの些細なことが,思い出として語られています。例えば,公民館の中の小さな談話室での出来事であったり,路上で売られていたぬいぐるみの話であったり,また,通勤途中で出合ったやり投げの選手のことであったり。
 先回の講話で,私は「人生は要約できない」「学校生活は要約できない」という話をしました。大きなイベントや行事は大切だが,何気ない日常の積み重ねが人の人生や学校生活を作っている。友達との会話,毎日行っている授業や掃除,そういったものを大切にして欲しい。こんな話をしたと思います。
 この「人質の朗読会」を読み,改めてそのことを感じました。
 なお,この本を借りようと思った理由は,本のカバーに書かれていた内容紹介を読んで,興味を持ったからです。

 遠く隔絶された場所から,彼らの声は届いた。慎み深い拍手で始まる朗読会。
祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは,人質たちと見張り役の犯人,そし
て・・・・。
 人生のささやかな一場面が鮮やかに蘇る。それは絶望ではなく,今日を生き
るための物語。しみじみと深く胸を打つ,小川洋子ならではの小説世界。
〜中公文庫内容紹介より引用〜

 もしもこの本を読んだ人がいたら,是非感想を聞かせて欲しいです。人によって感じ方は違います。同じ小説を読んで,どのように感じたのかを知り,感性を広げたり深めたりしたいものです。

学校生活は要約できない

 今日の集会では,学校生活は要約できないことについて話をしました。

 私は本が好きで,よく小説を読みます。好きな作家がたくさんいますが,その中の一人,伊坂幸太郎の作品から,印象に残った文章を紹介します。
 「モダンタイムス」の中に,次のような一節があります。登場人物の台詞です。

 「人ってのは毎日毎日,必死に生きているわけだ。つまらない仕事をしたり,誰かと言い合いしたり。そういう取るに足らない出来事の積み重ねで,生活が,人生が出来上がってる。だろ。ただな,もしそいつの一生を要約するとしたら,そいういった日々の変わらない日常は省かれる。結婚だとか離婚だとか,出産だとか転職だとか,そういったトピックは残るにしても,日々の生活は削られる。地味で,くだらないからだ。でもって,『だれそれ氏はこれこれこういう人生を送った』なんて要約される。でもな,本当にそいつにとって大事なのは,要約して消えた日々の出来事だよ。子供が生まれた後のおむつ替えやら立ち食いソバ屋での昼食だ。それこそが人生ってわけだ。つまり」
 「人生は要約できない?」
     伊坂幸太郎 「モダンタイムス」より引用

 このことを学校生活に置き換えてみましょう。
 皆さんは学校で,毎日いろいろな活動をします。授業に参加し,クラスメイトと学び合ったり先生の話を聞いたりします。給食の準備や掃除に一生懸命取り組みます。朝や帰りには部活動の練習もあります。また,友達との関わりで,ホッとしたり,ちょっとしたトラブルがあったりすることもあるでしょう。
 こういう何気ない出来事の積み重ねで,学校生活が成り立っています。しかし,その学校生活を要約するとしたら,そういった変わらない日常は省かれてしまいます。入学式や卒業式,宿泊行事や校外学習,体育祭や文化祭といった行事は残るにしても,日々の学校生活は削られてしまいます。そして,「あなたはこれこれこういう学校生活を送った」なんて要約されてしまいます。しかし,あなたにとって本当に大切なのは,要約して消えた日々の出来事なのです。つまり,学校生活は要約できない,ということです。
 行事はもちろん大切。本番に向けて様々な準備をし,練習もします。行事を通して大きく成長します。しかし,学校生活は,日々の何気ない多くの出来事の積み重ねなのです。
 少し前に修学旅行が終わりました。そして,今週は2年生の野外活動があり,1年生は校外学習があります。これらの行事で感じ,学んだことを,是非とも日々の学校生活で生かして欲しい。そんなことを願い,あえてこの時期に書いてみました。

準備が人を成長させる

 今日の集会では,本番に向けての「準備」について話をしました。

 衣替えの季節になりました。集会でも夏服を着ている生徒がずいぶんと増えました。まさに初夏。新緑が目に鮮やかですが,次第に深い緑に変わっていく樹々の姿も楽しみです。
 さて,明日から3年生は修学旅行に出かけます。2週間後には,2年生が野外活動で佐久島へ,1年生も校外学習で,瑞浪市のサイエンスワールドに出かけます。それぞれ,準備は進んでいるでしょうか。「備えあれば憂いなし」。準備をしっかりしておけば心配はない,といった意味です。逆に,心配なく事を進めるためには,きちんとした準備が必要だ,という戒めでもあります。3年生については,明日出発ですので,準備は万端ですね。
 3年生は,明日からの修学旅行の準備として,係の人を中心に,様々なことを決めてきました。修学旅行の目的は何か,ルールやマナー,持ち物は? 時には仲間同士で衝突したこともあったでしょう。こういった準備を通して,修学旅行について,何が大切なのかを深く考えたり,仲間との絆や学年や学級の和を深めたりしてきたと思います。準備とは,本番を心配なく迎えるだけではなく,準備することを通して様々なことを考えたり感じたりする,成長の場でもあります。
 先日行われた中間テストでも,皆さんは,準備の計画を立て,それをもとに準備(勉強)をしてきたはずです。中間テストなどの定期テストは,現在の学力を測るといった目的があります。しかし,テストに向けて準備することで,それまでの学習内容を振り返り,学力の伸びと定着をさせる,といった大切な目的もあります。何も準備せずにテストを迎えても,テストを受ける意味はあまりありません。
 また,部活動でも,大会で成果を残すために,一生懸命準備(練習)をします。ここでも,準備を通して,その種目の技能を高めたり,体力や精神力を増強したり,あるいは部員同士の絆を深めたりします。何も準備をすることなく大会を迎えても,やはり意味はありません。
 「努力は報われるか?」とよく言われます。準備に力を入れ,努力することで多くのことが得られるわけですから,テストや大会などの本番で,結果が思わしくなくても,「努力は報われる」と言い切ることができます。
 日々の授業でも,予習や復習は次の授業の準備です。はやり,ここにも力を入れたいですね。
 中学校では,様々な活動を行います。いかに備えるか,その内容や質,量が,本番のでき具合を左右します。と同時に,準備そのものが,皆さんの成長にはなくてはならないのです。是非,準備に力を入れ,一人一人が伸びていってくれることを期待しています。

陰口とアドバイス

 昨日の集会では,室長,議員,委員長の認証を行い,その後,部活動で優秀な成績を収めた生徒の表彰を行いました。名前を呼ばれたときには,はっきりとした返事が聞かれ,とても頼もしく感じました。また,認証状や表彰状を受け取った生徒全員にインタビューをしましたが,誰もが自分の言葉で堂々と決意や感想を述べてくれました。
 さて,昨日の集会では,「陰口とアドバイス」について話をしました。
 陰口とは,陰で人の悪口を言うことです。アドバイスとは,その人に,直した方がいい点や意見などを教えてあげることです。陰口とアドバイスの違いは何でしょうか。それは,その人本人に,直接言うか言わないかです。
 例えば,嘘ばかりを言い,ほとんど信用されていない人がいたときに,本人のいないところで「あの子は嘘ばかりつくよね。だから信用できないよね」と,何人かで言っていたとしたら,それは陰口です。しかし,「君の言うことは嘘ばかりだ。そんなことでは信用されないよ」と,本人に向かって言ったとしたら,それはアドバイスです。
 アドバイスは,本人に直すべき点を教え,よい方向に向かわせることができます。また,何かの事情があってそのようになっていれば,本人の弁解を聞くことができ,互いに納得することができます。
 しかし,陰口は何も生み出しません。生むとすれば,陰口を言っている者同士の,陰湿な仲間意識ぐらいでしょうか。
 ただ,何でもかんでも本人に言った方がいいのかと言えば,決してそうではありません。本人の努力では何ともできないような内容。例えば身体的なことです。また,人を傷つけてしまうような,「死ね」「うざい」といった言葉。また,意地悪な言葉です。また,本人に言えないような内容は,本人のいないところでも言うべきではありませんね。
 同じ内容でも,本人に向けて言えばそれはアドバイスとなり,本人のいないところでの悪口は,それは陰口ということです。そして,内容によっては決して本人には言わない方がいいものもあるということです。
 言葉は,人を幸せにすることもあれば不幸にすることもあります。言葉には力があります。だからこそ,思いやりの心を持って言葉を遣い,誰もが温かい気持ちになれるよう心がけたいものです。

入学式式辞

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 新1年生の保護者の皆さま,お子さまのご入学,おめでとうございます。心よりお祝いいたします。2・3年生の保護者の皆さま,今年度もよろしくお願いいたします。

 さて,昨日は,入学式と始業式を行いました。そこで,入学式で述べた式辞の一部を載せたいと思います。

 新入生の皆さん,人にとって最も大切なものは何でしょう。やはり,それは命です。命はかけがえのないものです。自分の命はもちろん,自分以外の命も大切にしてください。まずはそのことを,強くお願いしたいと思います。
 次に,命と同じぐらい大切なものは何か。それは心だと思っています。人がどんな行動をするのか,どんなことをしゃべるのか,こういったことは,その人の心の持ちようによります。ですから,心はとても大切なのです。皆さんは,中学校生活3年間を通して,ぜひとも,心を鍛え,育てて欲しいと思います。
 では,どういった心を育てて欲しいか。
 多少苦しいことがあっても,頑張ってやり抜き,善悪の判断をきちんとし,悪いことは絶対にしない,という強い心。美しいものを美しいと感じたり,自然に感動したりする,感性豊かな心。人を思いやり,その人の気持ちになって考えられる,優しい心。
 このような心を持った人になって欲しいと思っています。そして,心を鍛え,育てるために,品野中学校では,様々な活動に取り組みます。毎日の,授業や部活動,生徒会活動や清掃活動など。また,体育祭や文化祭などの行事。こういった取り組みは,すべて,人との関わりを通して行われます。友達や先生たちと,ふれあい,話し合い,互いに助けたり助けられたりしながら,より充実した活動を目指していきます。新入生の皆さん,大いに心を鍛え,育ててください。
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