最新更新日:2024/09/22 | |
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笑瀾万丈36 その日の夜のこと電話がかかってきた。 「ああ、Kだけど。」 一瞬誰のことか分からなかった。だって、それほど親しく親戚づきあいはしていないのだから。奥さんのことは知っているが、旦那さんとは、一度会ったきりだったから。 やっと思い出した。 「はい、Kさんですね。」と返事をした。 すると、突然、「東京へ行きたいのか」と質問された。 ええっ??なんで知っているのか。校長先生だけに話したはずなのに。 と思ったが、「はい、行きたいです。」と答えた。 すると、「分かった。」 と言って電話は切られた。 きつねにつままれたようだった。 ヒロシの頭に、Kさん?東京? こういう疑問にさいなまれながら、ぐっすり寝た。 翌日、校長先生に挨拶に行った。「あのう、Kさんから電話があったんですが…」 「ああそうか。なんで、Kさんから…」というと。 「ああ、Kさんは神戸市教育委員会教職員課の人事の主幹だよという」 「はあ〜。そうだったんですか。」 またもやびっくりであった。 ヒロシの親戚に教育委員会の人事担当の親戚がいるなんて、全くもって知らなかった。おおぼけもいいところである。後日、偶然お会いしたとき尋ねてみた。「私が兵庫教育大学大学院に行ったことも知っていたのですか」 「ああ、知っていたよ」 この一言に、ヒロシは救われた。大学院に行くときの境遇、そして、大学院修了後の動きをじっと見守ってくれている親戚がいたということに感謝した。 この後、どういう動きがあったのかは知らない。 筑波大学附属小学校と神戸市教育委員会、兵庫県教育委員会との間でスムーズに人事の話はまとまっていった。 うまく行くときは行くものだとヒロシは不思議な感覚を覚えていた。 なぜ、三輪先生からのお誘いが。なぜ、Kさんからの電話が。…などと考えていくと、人生は連鎖の固まりである。 未知の世界へ飛び込むことになるが、この先神戸でどうなるかが見えない世界だから、ここで決断するのも良いと考えた。神戸では、またもやいじめられもかもしれないし、悶々とするかもしれない。 |
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