最新更新日:2024/06/01
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笑瀾万丈59 スナックに通う不良中年

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スナックに通う不良中年

☆スナック「ラブ」
 ヒロシは、深夜12時すぎ、スナックで一人飲んでいた。
 今日の充実した日々を楽しむかのように、ご褒美にビールを2本ほど飲んでいた。
 お客さんは、経営者が多い。だから、教育の話題をすることもない。
お馴染みさん達なので気楽に飲める。
 スナックの名前は「ラブ」という。ママは里見さんであった。一人で飲み物や簡単な料理を手際よくこなしていた。とても気さくな人でどのお客さんからも可愛がられていた。
 ヒロシは、夜の算数研究会の後、上板橋駅を降りて自宅に帰る途中にスナックがあったので立ち寄った。
 人見知りのヒロシは、新規開拓の店探しはしない。ではなぜ、このお店を知ったのだろうか。
 清里合宿の打ち上げで図工専科の京野先生に連れて行ってもらったからである。
 36歳のときだった。
 京野先生と共に重い扉を開けた。薄暗い照明の中に一人の女性がいた。「いらっしゃいませ。」という声。
「どんな人だろう?」
 ヒロシは思いつつスタンドに腰掛けた。京野先生が「清里合宿の反省会をするので連れてきたよ。」という。
「はい、どうも〜。」という高い声。
 入ったときは夕方だったので一番のりであった。
 そのうち、あれよあれよという間にお客さんでいっぱいになった。と言っても10人くらいしか入れない広さであった。基本的にママはあまり干渉しない。ある時は将棋をさしても自由にさせてくれた。飲み物などを出すだけで精一杯なこともあるが、その人の雰囲気に合わせて接客してくれる。
 これにヒロシは、はまった。週に2回ほどではあるが、別の意味で忙しい日頃の癒しの空間となった。
 

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