最新更新日:2013/03/25
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ありがとう五反野小学校!さようなら五反野小学校!

子どもへの熱い思い届け

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[新校長日記]


教師総出で卒業式準備

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 地域に根ざした学校づくりがスタートして3年、わたしが民間から校長として着任して間もなく2年が過ぎる。充実した2年間だった。国の研究指定を受け、同僚教師と一緒に地域立の学校を創(つく)るという、新しい歴史作りにかかわることができた。出会いに感謝したい。


 23日午前中、5・6年は卒業式の最終練習だった。教師たちは歩く姿勢、話す声と、子どもたち一人一人に助言を与える。


 名前を呼ばれ、壇上に上がって将来の夢を発表する。遼香さんは「中学で水泳部に入り、将来は五輪選手になりたいです」「夏の区水泳大会での泳ぎは素晴らしかった。五輪選手は夢じゃない」。卒業証書を手渡しながら、一人一人に語りかける。


 2年前、この子たちと出会ってからの出来事が頭の中を駆け巡る。最初の思い出は5年。運動会の組体操で松本量(りょう)君とペアを組み、サボテンを決めた。6年の日光自然教室での夜、肝試しに男女ペアで出発する子どもたちの怖そうな、でもうれしそうな表情もよみがえる。


 公立小学校には様々な子が集まる。いろんな個性の仲間の中で、子どもたちは自分を見つけ出す。みんなの中にいる自分、自分の中にいるみんな。個性は集団の中で磨かれる。一人ひとりが、かけがえのない存在だ。


 自分を大切にし、愛し、高め、一生懸命に生きる大切さをわかってほしい。常に自分を見つめ、考え、自分なりに生き抜こうとする。それが自分を生かし、愛することだ。


 午後から5年生以下の修了式だった。体育館に集まり、代表が前に出て通知表をもらう。今春、転校する児童を代表に指名した。思い出を作ってあげようという担任たちの心配りだ。


 「新しい気持ちで新学期を迎えることができるよう、1年間を振り返り、自分の成長を確認しよう。4月には新しい目標をもち、登校してきてほしい」


 長い話だったが、頭が揺れることもなく、聞いている。こうした子どもたちの態度に教師たちの指導の成果を見る。


 児童を下校させると、翌日の卒業式の準備だ。年度末の教師は特に忙しい。八面六
(ろっ)臂(ぴ)の活躍だ。子どもたちの思い出に残る卒業式を演出してやりたい。明るく、協調性があり、人間的魅力にあふれ、日々努力する教師が子どもを支え、子どもの心に灯をともし、夢を与え続ける。


 分担された役割に従い、同僚教師らとともに準備に取り掛かる。野田紀道副校長は来賓の席次をチェックしている。弱視学級の松田清美教諭は卒業証書の準備だ。5年担任の西美紀教諭は、式次第の拡大印刷と掲示、村上武事務長と小川啓一主事は国旗、区旗の掲揚。田中琢也教諭は5年生に指示し、会場のイスを並べる。3年の坂本治枝教諭と金久保成美教諭は来賓受付の準備、1年清永亜矢子教諭と宮川佳子教諭は来賓席やトイレなど案内板の掲示。祝電の掲示は栄養士の小田孝子先生。少人数指導担当の石崎忠男主幹(教諭)が全体の進行を確認する。30人全員の息がぴったり合い、テキパキとこなしている。


 気持ちがひとつになり、互いに信頼感がないと、こうは進まない。子どもたちを思う熱い心が、卒業生や保護者、すべての人の心に届くだろう。


 卒業式に、感激にほおを紅潮させている6年生の顔が目に浮かぶ。五反野に集うみんなの胸に思いがあふれる。


 「五反野で学んでよかった!」


                 足立区立五反野小校長  三原 徹

  (2006年3月225日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)




  (足立区立五反野小校長
         三原 徹)          =おわり



「思い考える」の教え痛感

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[新校長日記]


座右の書「福武の心」

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 年間の教育活動を振り返る時期だ。今年、学校評価シートが新しくなった。ひろく保護者にも評価いただこうと、開かれた学校づくり協議会が取り組み、田中靖子副会長が中心となって改定した。保護者も参加して勉強会も開いた。全家庭と協議会委員に評価シートを配り、結果が集まってきているという。保護者や地域の支援の姿勢が心強い。評価の指摘を真(しん)摯(し)に受け止め、新年度の経営計画の中に生かしていきたい。


 校長になって間もなく2年。判断を下す際、あの方ならどうするだろうと思い浮かべる人がいる。福武書店(現ベネッセ)の創業者、故・福武哲彦氏だ。幼いころ父親と生き別れた私にとって父のような存在だった。


 私が福武書店に入社したのは76年。社員200人弱の地方出版社だった。終戦後の混乱期に出版業を興した哲彦社長はもと小学校教師。学校のような雰囲気で、年度の区切りも始業式、終業式と呼んだ。9月になれば「2学期が始まった」。月曜には全社員を集めて講堂で朝礼があった。そこでの訓話や社内報での発信をまとめたのが「福武の心―ひとすじの道」。私の座右の書、哲彦社長語録である。


 赴任する前、現会長の福武總一郎氏から「志を持てよ!」の励ましの言葉と共にいただいた。新年度の学校経営計画を立案する今、読みかえして心に留まったのが次の二つの訓話だ。


 ●「これでいいんだ」と思うな(83年2月17日)


 「いま私たちは来年度の計画を立てているが、いちばんうれしく思うことは、今年はよくやった、これでいいといったムードが全くないことだ。満たされたと思えば、後は欠けるだけである。夢と希望に満ちた計画も、未来を先取りする姿勢も生まれてこない。現状に満足したら意欲は減退し、守りの姿勢になって発展は望めなくなる。立ち止まるということは、退くと同じだと思わねばならない」


 ●思いに思い考えに考え続ける(84年5月14日)


 「『思う』ということは『気がつく』事につながる。思いは頭の働きをよくし、ひらめきを生み、よいアイデアを生み出す源泉である。わたしは朝起きたら、まず今日は何をやってやろうと思い、思い続けながら出社する。思いに思い、考えに考え続けて30年。それが今日の福武書店をつくりあげた。目覚めたときから毎日『思い考える』くせをつけていただきたい」


 痛感するのは、こうした教えは学校経営にも通じるという確信に似た思いである。


 1年を振り返って自省する。学校で、よくやったと子どもや教職員をほめる。ついでによくやっていると自分自身をほめ、慢心してはいないか。学校のことが分かったつもりになり、感度が鈍ってはいないか。


 子どもたちに基礎基本の学力をつけようと始めた朝の音読や計算ドリルの取り組み方はベストだったのか。学校を開き、教育活動を保護者や地域に知ってもらう活動はホームページや掲示板、学校便りだけで十分だったか。土曜スクールの講師や、毎朝の街頭での交通安全指導にあたる地域の方に、やりがいがあったと感じてもらえるような対応が出来ていたか。


 一つ一つの取り組みを思い起こしてみる。限られた時間と教職員数を考えると、より効果を上げる工夫や改善、個々人の資質向上が必要なのだ。いつも心を新たに、みずみずしい精神を保ちつづけようと思う。


                 足立区立五反野小校長  三原 徹

  (2006年2月11日 朝日新聞第2東京面に掲載されました)


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