最新更新日:2024/05/15 | |
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笑瀾万丈28 電話で相談「あのう、後藤先生、今度一年生をもつことになりました。一体どうすればいいのですか。」 ヒロシは思いあまって、前任校の学年主任に電話をしていた。 「それはね。楽しくやればいいのよ。一年生は学校に入るのが初めてだから学校って楽しい所と教えればいいのよ」 とアドバイスいただいた。 一年生と言われたときは、「ええっ!!」びくりマーク!!!!…の連続で眼が点になった。天にもすがる気持ちで後藤先生に電話をかけたのであった。 「ぼくに勤まるのであろうか。これまで三年生以上は受け持ったことがあるが、突然の一年生担任である。二年間の大学院生活でブランクがある。現場感覚が戻るのに時間がかかると思っていたが、大学院二年生から小学校一年生とは、ジェットコースターですべり落ちるような気持ちであった。 何事も初めての体験というもはハラハラ、ヒヤヒヤ、ドキドキするものである。 何がこの先起こるのだろうか。不安の二乗になっていた。 というのは、ヒロシは、これまで音楽と図画工作を教えたことはなかった。幸いにも前任校の二つの学校は音楽専科、図工専科が教えてくれたのであった。だが、今度はそうはいかない。専科はいるのだが低学年には配置されていない。 どうしよう。音楽の時間をどうしよう。 緊急対応が不可欠だ。 そうだ!!あれだ。 実家にオルガンがあった。大学生の頃に使ったオルガンである。 あれを我が家にもってこよう。早速、軽自動車のクオーレで実家に帰り、オルガンを積んで我が家に持ち帰った。右手だけでなく左手も添えての練習開始であった。 毎日一時間オルガンの練習に励むヒロシであった。これが名人級で左手はドソミソ、ドラファラ、シソレソの3和音で全ての曲をこなしていた。大学時代に勉強したピアノのタッチはこのとき役立っていた。 一年生の授業で音楽の時間に初めて子どもの前で弾いた局が、なんと、ちょうちょうであった。 ♪ソミミーファレレー、ドレミファソソソ…。 無事に音楽の授業を開始したのであった。 |
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