最新更新日:2024/05/16
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笑乱万丈49 初等教育研究会

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☆初等教育研究会

 筑波大学附属小学校には、校内に社団法人があり、初等教育研究会という。ここでは、毎月定期機関誌「教育研究」を発行している。
明治時代から続いている雑誌である。主に附属小学校の教官が記事を書いている。私が着任したときは、1000号を迎えていた。伝統のある雑誌である。国内でもこの手の雑誌は、広島大学附属小学校と奈良女子大学附属小学校だけである。
 さて、筑波に着任したから、当然、入ることになる。そこで、四月の初めに原稿がきた。「入会のことば」を書くようにという依頼である。B5で1ページ書いた。これを紹介しよう。附属小学校に入ったときの初発の感想が述べられている。

大都会の中の田舎
 六甲の水で有名な神戸より上京し四月から附属小でお世話になっております。必然的に初等教育研究会に入会しましたが、何かしら漠然とした喜びと不安が同居しております。
 というのも、附属へのお誘いがあるまでは、筑波大学附属小については、お名前だけで全く縁がございませんでした。何しろ「教育研究」も購読していなかったぐらいですから附属小及び初等教育研究会については全く無知であり、雲の上のことだったわけです。
 突然、附属小の転任の話が決まり、附属そのものが雲の上から地上の私の目の前に降りてきた次第です。
 そこで、入会の弁というよりも、着任して一ヶ月間の感想を述べることにします。
 標題にもかかげましたように、ここは、まさしく東京の中の田舎です。
 奇異に感じられる方が多いでしょうが、本当に田舎なんです。筑波山ではなく、文京区大塚にある田舎なんです。どうして田舎なんでしょう。
 まず、環境施設面について述べます。
 ここは、広い敷地を有し、しかもまわりがとても静かだということです。広い運動場が二つ、体育館が二つ、広い庭園である占春園の存在、どれをとっても大都会の中にあるべき空間ではありません。やはり田舎なんです。
 ついでに述べますが、ボロッちい校舎も田舎的です。良く言えば、伝統の重みが感じられるわけですが、とてもそのようなものではなく、お世辞にもきれいとは言えません。
 テレビにしても白黒テレビも残っているようですし、しかも本当に写るのかしらと首をかしげたくなるようなしろものです。現在、校舎改修の計画があるそうなので、その計画に期待したいと考えております。
 次に、すばらしい人的財産について述べます。子ども、教師、親という三者は、どれもすばらしく、それも田舎が残っていてすばらしいのです。
 子ども達は、のびのびしていてたくましい限りです。附属のお坊ちゃん、お嬢ちゃんというイメージではありません。ここには、公立校のような管理教育は見当たりません。個性を尊重し、自主性を重んじているようです。先生方も、信念を抱いて教育にあたっておられる訳ですが、陰で見守ってくれる親も大きな力です。「おらの学校さ、大切にするだべ。」という気持ちがあってこそできるものなのです。そういう気持ちは、まさに田舎風です。
 最後に、地方なまりの残る先生方は、田舎の熱血集団を感じさせられます。
 この附属及び研究会は、いつまでも田舎風でいくべきです。設備は、近代的にしていく必要はありますが、東京高師の伝統にふさわしく日本の教育界をリードしていくべき田舎でありつづける、即ちふるさとでありつづけるべきだと考えております。
 私も、早く大塚の田舎っぺになりたいと考えております。よろしくお願い致します。



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