最新更新日:2024/04/26
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東風

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東部中学校通信 Vol.6
平成29年10月 野呂一彦
「男坂・女坂」
 京都に知恩院というお寺があります。大きな山門をくぐると、険しい階段があります。段差が40センチほどの階段が51段、一気に駆け上がると息が切れます。これを男坂と呼んでいます。その右側に、緩やかな段差の坂道がありました。女坂といって、この階段は段差が15センチほどです。どちらも上で合流しますが、男坂は急な分だけ距離が短く、女坂は緩やかな分、距離は長くなっています。
 だれが、どの坂を上っても降りてもかまわないわけですが、その昔、着物を着た人や足の不自由な人には、40センチの段差を上るのはきつかっただろうと思います。そこで、誰もが登り降りできる緩い階段を作ったのは、昔の人のユニバーサルデザイン感覚なのかな?男坂、女坂の名前の由来は知りませんが、着物を着た女性の多くが、緩やかな階段を選んで利用したからか?急勾配で険しい坂と、緩やかで優しい坂のイメージが、その名前につながったのか?
 世の中には、曖昧でわかりにくいことが多い。私たちは、曖昧なことは苦手なので、すっきりさせるために、ある程度、合理的な理由をつけて物事を解釈したがる傾向があります。それがやがて社会の常識となっていきます。この常識が覆った例の一つに「天動説と地動説」があります。16世紀以前は、多くの人は、地球の周りを太陽や月、星が回っていると信じていました。これが「天動説」。ところが、説明しにくいことが出てきて、地球自体も動いていないとモヤモヤするところから「地動説」が当たり前になり、現在、これが定説となっています。常識とか当たり前と言われていることの中には、「とりあえずこの様にしておきましょう」ということがかなりあるように思います。
 男性と女性についても、もともと不確かなものなのです。身体的な特徴においても、心の性認識においてもポジションは曖昧で、人それぞれなのです。また、誰を好きになるか、ならないか、どんなタイプの人を好むか、好まないかも人それぞれです。時代は変化しています。同時に常識や当たり前も変わっていきます。近い将来、「かつて『男らしく、女らしく』という言葉があったらしい」という時代が来ます。自分らしく生きてください。男坂と女坂の間には、段差や勾配の違う無数の見えない坂が存在しているように思いました。

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