最新更新日:2024/05/20
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石崎小学校長の思い

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<子ども、教師、学校が変わった「○つけ法」の奇跡
―「どうせできねーもん」からの脱却―>

志水 廣・茨城県石崎小学校著 明治図書
http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html...

はじめに
 子どもたちにとって「わかる授業」を展開するということは,われわれ教師にとっての使命であり,永遠の課題である。子どもが変わるということは,授業が変わることであり,そのためには教師が変わることである。教師の情熱が子ども一人ひとりの学習を変え,学校生活を充実したものに変化させ,究極的には学校力となって大きな成果をもたらしたという実践を,本書を通して全国の先生方に発信したい。さらに,子どもが変わるためには『児童理解』と『学習指導』が両輪となることが基盤であることを冒頭に述べておきたい。
 さて,私は,平成20年4月,茨城町立石崎小学校へ新任校長として赴任した。そこで石崎小学校の教職員との運命的な出会いがあった。迎えてくれた先生方の雰囲気の中に,まず,「輪」を感じた。そして,数日間,数週間と日を追うごとに,先生方の会話や行動から,すばらしい「教師力」を実感した。先生方のエネルギーを感じた。そのエネルギーはどこから来ているのか,私の観察と検証が始まった。結果,エネルギーの源は,研修の深さであることを知った。子どもたちの学習意欲を高め,学力を伸ばそうとする情熱,子どもたちをよりよく理解し,しっかりと育てようとする強い愛,チームワーク(互いに支え合い,励まし合い,ともに伸びようとする雰囲気),一人ひとりを大事にする先生方の姿に感銘を覚えた。と同時に,今までの歴任校の中では味わえなかったほどの研修意欲を感じた。前任の校長先生や教頭先生のリーダーシップをもとにスタートした過去3年間の研究を終わらせてはならないという校長としての使命感をもち,石崎小学校の未来に向けて研究を継続していく必要性を強く自覚したのである。
 本校は,4年前より「『学習指導』の充実」と「『児童理解』の深化と積極的な生徒指導」という2つの柱を両輪として校内研修を進めてきた。『学習指導』では,愛知教育大学大学院教育実践研究科教授:志水廣先生の理論をもとに,「自分の考えを相手に伝える能力を育てる算数科指導の在り方(「○つけ法」や「二人対話法」,「意味付け復唱法」などによる支援を通して)」をテーマとして取り組んでいる。また,生徒指導については,「『児童理解』の深化を基にした積極的な生徒指導の展開(児童のもつ“background”の理解を通して)」のテーマにもとづき,茨城大学名誉教授・臨床心理学者:吉田昭久先生を講師として月1回招聘し,授業観察や担任との面談を通して『児童理解』の方法と実践についての指導助言をいただいている。
 算数科の学習の中で,少人数指導・習熟度別指導・TTによる指導は,今やどの学校でも実践しているいわば定番である。しかしながら,なかなか成果が表れてこないのが実情ではないかと思う。それは,それらの学習形態をとれば,一人ひとりの子どもにきめ細かな指導ができるという安心感と錯覚を抱いているのではないかと思えるのである。そこで,長続きのできる,だれでもどの学級でもできるという学習指導法を確立することが大事であると考える。その意味で,本校における算数科の学習指導は,「○つけ法」を核とした,まさに一人ひとりへのきめ細かな配慮がなされた指導法と,習熟度別の少人数指導による学習形態での授業が合致した形で展開され,子どもたち一人ひとりの学力向上に繋がる実践であると確信している。
 また,生徒指導については,観念的なとらえ方ではなく,子ども一人ひとりに対し,臨床的に寄り添った形で実践している点が本校のよさであり,『児童理解』が『学習指導』を展開していく上で不可欠なものであるという考え方が全職員に浸透している。
 志水先生と吉田先生は,本校にとっての“師”であり,今やなくてはならない存在である。偉大な2人の師のお陰で,本校の研究が双方向的に連鎖し推進されていることに改めて感謝したい。本書が出版されるに至ったゆえんである。
 平成20年7月,私は,静岡県伊豆市にある修善寺生涯学習センターにおいて開かれた授業力アップセミナー志水塾・伊豆学習会に参加した。「百聞は一見に如かず」のことわざ通り,興味・関心と好奇心のもと,志水廣先生の提唱する「○つけ法」や「意味付け復唱法」がいかなるものかを,肌で感じるために受講をしてきた。塾長の志水先生の愛と情熱のある講話に心が吸い込まれそうになり,多くの感動を覚えた。その後の実技研修では,これぞまさしく,「○つけ法」,「意味付け復唱法」で子どもが変わる,授業が変わることのすばらしさを学ぶことができた。授業を充実させ,教師の授業力を向上させることが学校経営の重点であることが,伊豆学習会を通してわかった。全国から集まった若い指導者の方々とともに有意義な夏の1日を過ごすことができた。
 学校教育が目指す究極の目標は,人間形成であり,「生きる力」を培うことである。その中心は,授業を充実させることである。今回,本校の教職員が日々の授業実践に取り組み,また,子どもたちと深くかかわり,4年間の研究実践をもとに書籍にまとめ,記録に残すことができたことは,大きな自信となった。全職員が力を合わせてさらなる研究を深めていくとともに,石崎小学校の未来に繋げていきたい。
 本書の出版にあたって,愛知教育大学大学院教育実践研究科教授(志水塾塾長):志水廣先生から多大なるご指導ご助言をいただいたことに深く感謝したい。執筆に関するご推薦をいただいたことに対しても厚く御礼を申し上げたい。また,茨城大学名誉教授・臨床心理学者:吉田昭久先生には,『児童理解』における研修の講師として何度も本校を訪れていただき,児童一人ひとりや教職員に深くかかわっていただき,『児童理解』の深化を図るための多くの示唆を与えて下さったことに,敬意を表したい。さらには,編集に携わっていただいた関係者の皆様の多大なるご尽力に対し,深く感謝申し上げたい。
 本書を通して,たくさんの先生方に本校教職員の熱き思いを受け止めていただくとともに,全国の小中学校の現場における『学習指導』や『児童理解』に役立てていただければ幸いである。

   茨城町立石崎小学校長 /日高 唯志





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