最新更新日:2020/03/31 | |
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全国のお雑煮 (1)私は名古屋市で生まれて育ちましたから、もの心ついた頃から食べていた「お雑煮」といえば、鰹(かつお)ダシの汁が醤油で味付けされ、写真のように、具材は四角の切り餅を煮て、餅菜(もちな)とかまぼこがのったシンプルなものでした。(写真 2) 餅菜は「名(菜)を上げる」といわれる縁起物の野菜で、尾張地方で採れる小松菜の仲間です。小松菜より葉の色が濃く、柔らかいのが特徴なのですが、本物の餅菜は手に入りづらく、正月間近には小松菜が「餅菜」とか「正月菜」と名を変えて店頭に並ぶことが多いようです。家庭によってさまざまですが、トッピングはカツオ節が定番で、黒砂糖をのせるところもあるようです。 就職するまではこの「名古屋風」が雑煮のスタンダードだと思い込んでいましたが・・調べてみると“ところかわれば、品かわる・・"の言葉どおり、実にいろいろなスタイルがあることを知りました。 「汁」の味付けでは、この地方の「しょう味」をはじめ、関西地方に代表される「白味噌仕立て」や「小豆(あずき)汁」というところもあります。 「餅」では、四角にカットされた「角餅」もあれば、角のない「丸餅」のところもあります。また調理方法も「煮る」「焼き目をつける」など、地方によってそのスタイルが異なります。「角餅」と「丸餅」の分布を調べたマップを見ると、富山、石川、岐阜、和歌山県のあたりが境界線になっているようで、ひょっとすると“天下分け目の関ヶ原の戦い"に関係している・・という人もいます。 さて、シンプルな「名古屋雑煮」と対照的なのが「新潟県のお雑煮」です。(写真 3)この地方では「角餅」を煮た汁に、鮭の切り身やイクラなどの海鮮がたっぷりとのった豪華な雑煮がいただけるようです。 さらに驚いたのは香川県讃岐地方のお雑煮です。煮干しで出汁(ダシ)をとった白味噌仕立ての汁に「あんもち」を入れて、青海苔がトッピングされているんです。具材はダイコン、ニンジン、サトイモ、豆腐など、家庭によってさまざまなバリエーションがあります。 東海地方で生活する私たちには驚きの雑煮なのですが、讃岐地方の人にとっては、これがなくてはならぬ正月の味なのだとか・・・ 砂糖が貴重だった時代、「せめてお正月のお雑煮くらいは贅沢(ぜしたい)に!」と祝った先人たちの願いがこめられた一品だったのですね。 |
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